ドイツのユーゲントシュティール運動に関係し、主に装飾品デザイナーとして働いていた
クリスチャンセンだが、応用美術だけでなく、多色刷
石版画やパステル、
ステンシル画の作品も多く制作している。同時代の
ナビ派や
象徴主義の画家たち同様、
クリスチャンセンの絵にも、女性が主人公として登場する場面がほとんどである。この作品でも、単に水浴する女性を描いたというより、海と隠喩的に関連づけられることの多い女性を象徴的に描いていると言える。また、
象徴主義文学に基づいている可能性も高いが、出展は定かでない。波が画面の大部分を覆い、装飾的な模様となっている点、高く立ち上がった波を静止して描いている点などに日本美術における波の描写との相似が認められる。(「世紀末から 西洋の中の日本「
ジャポニスム展」図録)