ぐるぐるアートワード
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ぐるぐるもくじ


アラベーラ・ボルトンの肖像



あらゆる試練に耐えて



アララットの船あるいは空の蜜



有元利夫



有山白崖



ある音楽家のための楽譜(徳島会場不出品)



ある種の関係



アルジェのユダヤ人(タンジールのユダヤ人花嫁)



アルジャントゥイユからサノワへの道



ある彫刻家の顔



アルテンシュタイン



アルテンベルク



アルデイア通り



アルトゥール・レスラーの肖像



〈アルトーは兵士たちの前で語る〉



アルハンブラ−ヌイイの祭り



〈ある場面の再現〉



アルバース



Alphabet Skin



アルプ


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すふぃんくすきょうのながめ

スフィンクス橋の眺め

作家名:ユベール・ロベール
制作年:1767年
技 法:油彩 キャンバス
画面の前景では、川にかかる石橋のアーチの下で、女たちが洗濯や炊事に余念がない。スフィンクス型の2対のライオン像が置かれた石の階段を上り降りする人々、母親の傍で戯れる子供たち、両岸に渡された板の上を歩く犬など、日常のありふれた生活のひとコマが、きわめて現実的に描き出されている。左側から差し込む陽光が橋の右下方を明るく照らし、橋の下の構造や主要な人物がくっきりと浮かび上がっている。一方、対岸の左下方は反対に暗くなっていて、薪を焚く炎の黄色い明るさが周囲の暗さを強調する格好になっている。川面に沿って上流の方向に眼を向けると、遠景には二つのアーチをもつ石橋の下に滝のような急流があり、ごつごつとした大きな岩の間をぬって下り落ちているのが見える。繁みのある岩場の上には古城がそびえ立っている。近景の現実的な生活空間とは対照的なロマン主義風の非現実的な空間ともいえる光景で、明るい幻を見ているような印象を受ける。古代風の建物や廃墟を主題に描いたロマン主義風景画や、18世紀後半のパリの生活や出来事を描きとめた記録画を得意としたユベール・ロベールの特徴を良く示した作品である。すなわちこの作品は、近景では当時の庶民の生活風景を、遠景では橋と城のあるロマン主義的な風景を表しており、その両者を一つの画面に融合させたものと見ることができる。18世紀末のパリには、フィレンツェのポンテ・ヴェッキオのように中世以来の古い構造の橋を保持していた場所もあり、橋上に住居が密集していたところも存在したことは事実で、この絵に見るような橋の下の生活という光景は確かにあったのであろう。ロベールは、パリの近代化の側面を見つめ続けた画家の一人で、たとえば、交通の便を図るために橋上の住居を撤去する工事の現場でさえも絵に描き残した。(《ノートルダム橋上の住居のとり壊し》カルナヴァレ美術館蔵)(「近世フランスの絵画と版画−東京富士美術館コレクションによる」図録 2002年)


カテゴリー:作品
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外光派とは?【 美術用語 】

19世紀フランス絵画史における呼称。ルネッサンス以降ヨーロッパのアカデミックな美術教育では屋内で油絵を完成するのが習しだったが、19世紀に入ると屋外の太陽光の下で油絵を完成しようとする作家が現れた。そうした作家あるいは制作態度を指す。主題としては風景画が多く、具体的な作家としてはヨンキスト、ブーダンなど印象派の先駆的な役割を果した作家を指し、クールベコローなどを加えることもある。印象派も屋外での制作に専念しているが、普通は外光派と区別し、むしろ印象派の技法とアカデミックな主題を折衷して19世紀後半のパリ画壇で人気を得たサロンの作家たちを指すことが多い。日本ではサロンの作家ラファエル、コランに学んで1893年帰国した黒田清輝を中心として形成された洋画の新傾向とその一群の作家を指す。黒田が帰国するまで主流であった脂派との対比から、紫派、新派、南派、正則派とも呼ぶ。

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