ユトリロは、この家を違った角度から何度か描いている。しかし、モン=スニ通りから見た、見捨てられてすっかり荒廃したような大邸宅のこちら側は、一度も画面に現れたことがなかった。この絵はモン=スニ通りとサン=ヴァンサン通りに沿った壁を背にして、庭の中から描かれたものである。 「1912年以前には、どこにも作品を発表したことがない
モーリス・ユトリロの成功は、識者の中の美術愛好家グループが夢中になったことでいまや確実なものになっている。その識者の名前を挙げれば、ブロー、デュシェ、ガリマール、O.ミルボー、ブルック、ルイ・ヴォークセル、エリー・フォール、パックマン……ということになろうか。画家たちも
ユトリロの絵を買っている。所蔵して楽しんでいた愛好家のところで、
ユトリロの絵を初めて見いだした
フランシス・ジュールダン氏に、我々は感謝しなくてはならない。大衆にはまだ名を知られていない
モーリス・ユトリロも、美術愛好家による評価はすでに確かなものになっている」(K.S.)