ぐるぐるアートワード
データベースを使った楽しいサービスです。文中のキーワードをクリックすると、解説文があらわれ、同時に検索結果が表示されます。ぐるぐるキーワードをたどって遊んでみてください。
ぐるぐるもくじ


手のある人質I



テュルパン・ド・クリセ伯爵夫人の肖像



寺井壽一



寺内萬治郎



テラコッタ



寺本郷史



テルトル広場



テルトル広場







転位 ’86−地− III



天使



天使の器 II



点描主義



テンペラ



天文台の時刻に−恋人たち



テーブルと椅子のセット「アンナ」



デキリコ



デクーニング



デ・スティル



デア・シュトゥルム


<前 (99/186ページ) 次>

●もくじのさくいん

    

    

記事カテゴリ

 すべて

 作家(1701)

 作品(1851)

 美術用語(163)

 その他(1)


さんべるなーるどおり あん

サン・ベルナール通り、アン

作家名:モーリス・ユトリロ
制作年:1933年
技 法:油彩 キャンバス
ユトリロは1930年から33年の大半の時期をサン・ベルナールの城で過ごした。彼はそこで、土地の娘アネット・ジャキノーに身の回りの世話をされて、修道院にいるような日々を送った。彼女はシュザンヌの指示に従おうと努めた。それは常にたやすいことだったわけではない。しかし、ユトリロはずっとアネットの言うことを聞き、規律のない生活をやめ、欲望を抑えた。 アネット・ジャキノーは、日記にこう書いている。 「そう、彼はお酒を飲むのが欠点でした。でもどんな人にも、何か欠点があります。それにこのお城にお酒を出してくれない料理人と一緒に閉じ込められていて、どんな楽しみがあるのでしょう。 彼は絵を描きました。お母さんへの手紙にはこう書いていました。『ここの生活は、かなり平凡で、まあまあうまくいっています。昨日は修道院のシスターが二人が来ましたので、20フラン渡しました。僕は絵の仕事を少しずつしています』」 不眠症になったユトリロは、夜のさまざまな音が気にかかって、いつも耳をすませてしまった……母への思いを運ぶパリ急行が通りすぎるのは、午前2時であった。シュザンヌは今何をしているのだろうか。シュザンヌはパリで独りで絵を描いていた。画廊ル・ポルティックが彼女の重要な展覧会を開き、図録の序文をエリオ首相が書いている。 1932年の夏は穏やかにやってきた。ユトリロがこの絵を制作した年、3人はサン・ベルナールで夏を過ごした。ここで生活するのは快適であった。シュザンヌはアンドレと再会し、そうした出会いをみな喜んだ。そんな安らぎは、かわいそうなユトリロの病気がちな心の回復には効果があった。 彼の心の慰めになるものが、春の花束のように瑞々しいこの絵にはあふれている。これは、つかの間のはかなく幸福な人生に捧げられた賛辞である。ユトリロの幸せな時は、ほとんど長続きしなかった。すぐに、「ご主人様」に献身的に尽くすアネット・ジャキノーをただ一人の同居人とした味気ない生活の中に見捨てられることになる。(K.S.)


カテゴリー:作品
  いまクリックまたは、検索したキーワードの解説

水墨画とは?【 美術用語 】

墨によって描かれた絵画。墨絵、墨画ともいう。彩色画の対概念で、また、墨線のみの白描画(白画)に対して、墨の暈(ぼかし)による濃淡や筆の抑揚の表現のあるものをいう。中国に始まり、朝鮮・日本に伝った。中国では、戦国時代の帛画にもその徴候が見られるが、盛唐期(7世紀末〜8世紀前半)に輪郭線・色彩による伝統的画法から解放されて生れたものである。「水墨」の語は中唐期(8世紀後半)の詩人劉商の詩にみられる。10世紀には水墨技法は著しく発展し、南宋では技術的完成がめざされた。また、水墨画と禅思想との関係は緊密で、南宋から元初には一画期を現出した。日本では、奈良時代にその先駆的なものがみられるが、鎌倉後期(13〜14世紀)に宋元画の影響によって始りを迎えたといえる。室町時代には如拙・周文らを軸に詩画軸が流行し、その後、室町後期の雪舟、桃山時代の狩野派による金碧障壁画、江戸前期の狩野探幽、後期の円山応挙、また、池大雅、与謝蕪村らの南画など様々に発展し、現代では抽象的造形も試みられている。

  画面右にこのキーワードの再検索結果が表示されています。そちらもご覧ください。

キーワード検索




けんさくけっか

キーワード

水墨画

キーワードを含む記事
25件見つかりました。

  雨後之山

  浦上玉堂

  熊谷守一

  渓山(千巌競秀叡)

  小杉放庵(未醒)

  近藤浩一路



  斎藤博之

  山雨

  山水−くずるる 2

  山林幽致

  秋月等観

  深山秋色図

  水墨画

  篁牛人

  タン・スイ=ヒャン(陳瑞獻)

  豊秋半二

  中川紀元

  版画集〈石版画集 点より 線より〉5. 線より1

  飛泉


<前   次>

徳島県立近代美術館2006