パトリック・ファン・カーキンベルフは、1985年以来ユニークな作品を発表し続け、現在の
ベルギー美術界で最も注目されている若い作家の一人である。カーキン
ベルフはその作品の中で、神経学から文学、動物学から魔術、人類学から建築学といった学問の再調査を行う。彼にとって芸術はその再調査が許されている場所なのである。作品はアッ
サンブラージュが多く、朽ち果てるような素材を好む。彼はフィクションを集め、作家の内面にある宇宙を作り上げる。その創造の源になっているのはアルストの彼の生家、ゲントの現住地、そして彼が
アカデミーの学生時代に廃工場に作り上げた「リビング・ボックス」である。この3ヶ所を旅することで彼の創作の主要な部分ができあがってくるのである。(「
ベルギー現代美術展」図録 1994年)