作家名:チャールズ・W.
バートレット
制作年:1916年
技 法:多色刷木版
バートレットが渡辺
木版画店から版行した、日本の風景版画のシリーズの中の1点。左下に「渡辺の落款が見られる。版元渡辺庄三郎は1909年から浮世絵研究会を発足させ、日本における伝統的版画の復興に火を付けると同時に、
鏑木清方の門人や外国人作家を起用して、近代的な
木版画を創出しようと試みた。
バートレットの他にも、フィリッツ・カペラッリ(1884−1950)やエリザベス・キース(1887−1956)等の来日外国人作家の作品を版行している。この神戸の雨の夜景を描いた作品には、広重の『名所江戸百景』の《猿若町よるの景》の構図や人影、
小林清親の光線画に見られる明かりの表現などの影響が見られる。雨の表現にも日本の浮世絵に用いられる直線を採用したが、雨に濡れた道に反射する人影や提灯の光の表現には、
バートレット独特の
水彩画のような
抽象的なぼかしを効果的に用いている。(「世紀末から 西洋の中の日本「
ジャポニスム展」図録)