右上の落款にも現れているように、
ウダールは浮世絵から主題、構図、色彩の全ての要素を学び、吸収した。版画の活性化を図って出版された『
エスタンプ・オリジナル』誌に含まれたこの版画も、蛙を虫瞰図的視点(Worm’s-eye View)で捉えている点、かきつばたの葉を前景に迫り出させ、画面に奥行きを持たせている点、輪郭線の使用等に浮世絵の直接的な影響が見られる。葉の上にのった蛙を真正面から捉えているユニークな視点も、北斎漫画における小動物の描写などにヒントを得たと考えられる。(「世紀末から 西洋の中の日本「
ジャポニスム展」図録)