本図は、『エッフェル塔三十六景』の数少ない
木版画習作の一つであり、全図が
石版画版として出版される1902年より10年も前に制作された。画帳に含まれる本図の
石版画版は、「ジュール橋より」と改題されているが、それは単に同じ橋がオートゥイュ鉄橋という別名を持っていたからである。多くの
リヴィエール作品に見られるように、本図でも鳥瞰図法が用いられ、画面の大部分をセーヌ川とパリの町並みが覆っている。構図の上だけでなく、明快な輪郭線と平面的な雲などの表現にも広重を筆頭とする浮世絵の様式の影響が見られる。(「世紀末から 西洋の中の日本「
ジャポニスム展」図録)