独学の画家
シニャックは、1885年頃スーラや
ピサロに出会ったことをきっかけに点描法を取り入れた。日本美術には展覧会などを通じて、既にそれ以前に触れる機会はあったものの、その影響は点描技法を始めてしばらく後、特に
ゴッホとの親交があってからしか見られない。版画も80年代半ばに始めたが、作品は少なく、約20点の
石版画、7点の
木版画、7点の
エッチングが数えられるのみである。しかし、多色刷
石版画を手がけたのは1888年と早く、
ボナール、
ロートレックの試みに先駆けている上、分割主義の色彩理論を既に版画において実践している。この作品では、青の
グラデーションと薄い緑の点だけで画面が構成され、穏やかな夕暮れの情景が表現されている。(「世紀末から 西洋の中の日本「
ジャポニスム展」図録)