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こびんをかかげるまると あるいはみずさしをもつしょうじょ 小瓶をかかげるマルト、あるいは水差しを持つ少女
キリスト教の敬虔な信者であったドニの作品には、聖書を元にした主題が多いが、登場人物にドニ自身の姿や夫人のマルトの姿が重ね合わされたり、ドニの身の回りの風景が描かれていることが多く、単なる宗教画とは違った、近代的且つ神秘的な趣がある。この石版画も、ドニの《エマオへの巡礼》という油彩画の中に登場する、マルトに似た修道女をクローズ・アップして描いたものである。油彩画と同じく、場面はドニのサン=ジャルマン=アン=レイのアトリエで、修道女またはマルトは聖体秘蹟の儀式に使う瓶を掲げている。また、油彩画ではキリストの隣に、巡礼の一人としてドニ自身が描かれている。形態の抽象化や渋い色合いに見られる浮世絵の影響の他、マルトの顔立ちや体の輪郭には、ドニが1895年にイタリアで見てきたフラ・アンジェリコの宗教画の影響も現れている。(「世紀末から 西洋の中の日本「ジャポニスム展」図録)
カテゴリー:作品
ブラックモンとは?【 作家名 】 パリに生まれたブラックモンは、日本美術の影響を受けた最初の西欧の芸術家と考えられている。鳥と花が描かれた版画の劇的な構図の効果や、ルソーの食器セット(1866年)のデザインに、ジャポニスムの影響が現れており、おおむね北斎の絵本類から着想を得たものである。ジャングラール協会という日本美術の研究を唱道する芸術家、批評家の集団の創立メンバーとして1860年代半ば頃、毎月会合を開き、フィリップ・ビュルティ、ザカリ・アストリュック、アンリ・ファンタン=ラトゥール、ジュール・ジャックマール、M・L・ソロン、アルフォンス・イルシュらと日本美術について語りあった。1874年に日本の多色刷木版画を真似た最初の多色刷エッチングを制作した。多くの画家や版画家との交友を通して日本美術の喧に努め、テオドール・ルソー、オーギュスト・ルペール、アルベール・ベナールら多くの画家にエッチングを教えた。1889年、アンリ・ゲラールやフィリップ・ビュルティと共に画家=版画家協会年次展覧会創立に貢献した。(P.F.)(「世紀末から 西洋の中の日本「ジャポニスム展」図録) |
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