ぐるぐるアートワード
データベースを使った楽しいサービスです。文中のキーワードをクリックすると、解説文があらわれ、同時に検索結果が表示されます。ぐるぐるキーワードをたどって遊んでみてください。
ぐるぐるもくじ


〈版画集〉5



版画集〈『悪の華』のために版刻された14図〉13.〈放蕩〉と〈死〉は…



版画集〈エルサレムの攻略〉1.裸婦



版画集〈エルサレムの攻略〉2.頭蓋骨のある静物



版画集〈恋人たち〉1. 準クラナッハ選集、“本日休演”による ファースト・ステート



版画集〈恋人たち〉12. …裸にされた花嫁 セカンド・ステート



版画集〈ジャズ〉1.道化師



版画集〈ジャズ〉2.サーカス



版画集〈ジャズ〉8.イカルス



版画集〈聖マトレル〉1.レオニー嬢



版画集〈聖マトレル〉2.テーブル



版画集〈聖マトレル〉3.長椅子のレオニー嬢



版画集〈聖マトレル〉4.修道院



版画集〈石版画集 点より 線より〉5. 線より1



版画集〈ダフニスとクロエ〉9.クロエの接吻



版画集〈ダフニスとクロエ〉11.真昼,夏



版画集〈ダフニスとクロエ〉17.フィレタスの教え



版画集〈ダフニスとクロエ〉41.ニンフたちの洞窟での婚礼の宴



版画集〈ダフニスとクロエ〉42.結婚



版画集〈ドリアン・グレイの肖像〉1. 虹色のスカーフをつけたドリアン・グレイ


<前 (7/34ページ) 次>

●もくじのさくいん

    

    

記事カテゴリ

 すべて

 作家(1701)

 作品(1851)

 美術用語(163)

 その他(1)


むらのはなよめ じゃんばてぃすとぐるーずのげんがによる

村の花嫁[ジャン=バティスト・グルーズの原画による]


作家名:オーギュスト・ブランシャール
制作年:1898年彫版
技 法:エッチングビュラン
この版画の原画は、1761年のサロンに出品された作品で、グルーズの代表作の1点である。当時の目録には、「結婚:花嫁の父が、婿に持参金を渡す場面」とある。すぐにマリニィ侯爵がこの作品を入手し、彼が亡くなるとルイ15世によって王家のコレクションに繰り入れられ、現在ルーヴル美術館の所蔵となっている。この作品のテーマは、まさにグルーズらしい特色に満ちている。村の生活風景という風俗に取材した素材を、道徳的・教訓めいた意味づけで再構成したもので、当時流行しつつあった田舎風の純朴な道徳とルソー風の感傷趣味に合致するものであった。画家グルーズの的確な観察眼と確かな技量は、大変優れた描写の巧みさで生活の一断面を描き出し、その情景に込められた教訓をさらに説得力のあるものにしていた。こうした彼の作品はディドロによって「描かれた道徳」とまで讃えられ、芸術の目指すべきあり方とも受けとめられていたようである。ここでは、父親の謹厳さ、婿の真面目さ、花嫁の羞恥心、兄弟姉妹の心配りなど、描かれている人物やそのしぐさは幾重にも張り巡らされた意味に満ちている。当時の批評家の中には、座る母親の周りにいる子供たちの姿に注目し、雛に囲まれた雌鶏の姿と比較して、その象徴的な意味をくみ取ろうとしたものさえいたという。こうした作品の構図の巧みさと、細部にいたるまで緻密に描き込まれたリアルな描写が、教訓的な意味合いを重んじた画家の姿勢に結びついて、一種独特な物語的風俗画という絵画を生み出したのであった。(「近世フランスの絵画と版画−東京富士美術館コレクションによる」図録 2002年)


カテゴリー:作品
キーワード検索




けんさくけっか

本文中のリンクをクリックすると、そのキーワードで検索できます。

徳島県立近代美術館2006