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まずしきしょくじ 貧しき食事
ピカソは、スペインでは版画のトレーニングを受けていない。彼の最初の版画は、ピカドール(馬に乗って牛を刺激する闘牛士)を描いた<左利きの男>(1989年)と言われている。この時ピカソは、版画というものが紙に転写した時にイメージが左右反転するということを、どうやら知らなかったらしい。意に反してそのピカドールは左手に槍を持つことになり、ピカソはタイトルを「左利き」とした。そんなピカソがパリに出て制作した<貧しき食事>(1904年)では、一挙に高い技術と完成度を見せている。貧乏だったピカソは、他人の使い古しの亜鉛板を用いたため、背景にうっすらと前の版画の風景のイメージが残っている。やせこけた盲目の男と彼によりそう女の前には、ワインの瓶と一切れのパン。お皿は空っぽ。貧困と孤独にある盲目の人、そして細長く引き伸ばされた人体は、社会の底辺であえぐ人々の絶望と希望への共感を青い絵の具で描いた「青の時代」の特徴を示している。シャープな線とコントラストの強い陰影表現が、緊張感あふれるドラマティックな画面を生み出している。男性が女性の方に手を回している様子は、女性を気遣っているようにも見えるが、顔はお互いに反対側に向いていて、実のところ心の中の距離は遠いのかもしれない。二人の腕が連結して生まれている循環は、頬杖をつく女性の左手で、むなしく宙に浮いている。その女性の視線もまた行き場を失ってあたりをさまよっている。男性の視線は画面の外に向かうが、その盲目の眼には何が映っているのだろうか。(「変貌するひとのすがた ピカソの版画」(コレクション+αで楽しむシリーズ) 2006年)
カテゴリー:作品
トーマスとは?【 作家名 】 1926年ミシシッピー州生まれ。生来、音楽と美術の才能に恵まれていた。1971年に墓堀の仕事をやめて音楽と美術に専念し始める。ブルースの一流ギター奏者であり、粘土彫刻家だった。彼の彫刻は、粘土で成形した人頭で、不気味なまでのリアリティーが漂う。“Black Folk Art in America:1930−1980”展でも彼の作品が紹介されたが、そのオープニングでは彼のブルース演奏も行われた。1993年逝去。「10歳の時、祖母を怖がらせる頭蓋骨を作った。祖父も外に出せ、と命じた程、うまく出来ていたよ。」(「アート・イン・パラダイス−アメリカのユニークな作家たち」図録 2001年) |
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