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こんぽじしょん コンポジション
抽象美術とは、目に見える具体的な対象を持たないことである。その創始者の一人であるカンディンスキーにとって、描くべき対象物に代わるものは何か、というのが大きな課題であった。 カンディンスキーが抽象的な表現方法を理論化する際に、比較して考察したのは音楽である。音楽の構成要素である音は、それ自体で何らかの形のある具体的な対象物を持っているわけではない。にもかかわらず、われわれは音楽を聴いて、それを鑑賞し理解することができる。それなら音楽における音を、絵画における色や形に置き換えることができるのではないか。これが、カンディンスキーの理念の骨子であろう。 従って、カンディンスキーの作品で重要なのは、色彩や形態が共鳴し合い、リズムや動きを生み出して、ハーモニーを奏でることなのである。 この作品は、その革命的な制作の最も初期にあたる1911年の作である。まだ完全な抽象には至っておらず、そこに、山や樹木などの風景の名残を暗示のように感じることができる。画面を構成するのは、色で出来上がった点であり線であり、あるいは面である。それらが時には太く、時には細く、あるいは長く、短く、小刻みに、さまざまな波動を生みながら響き合っている。そして、水彩絵の具の透明感が、それらを軽快で清新なものへと演出している。 点であれ線であれ、それは本来、物質的な存在ではない。それは位置や境界を示すものではあるが、ある物理的空間を占めているのではなくむしろ理念的な存在であり、目に見えるものではない。そこまで絵画の構成要素を分析し、精神性と肉的な必然性を重視したカンディンスキーの作品を理解するのは困難にも思える。しかし、あたかも音楽を聴くように画面の発する音に耳を傾けてみると、一見何が描いてあるか分からない画面が、われわれに語りかけてくる瞬間が必ず訪れるのである。
カテゴリー:作品
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印象主義とは?【 美術用語 】 19世紀後半のフランスに起きた最も重要な絵画運動で、その影響は欧米をはじめ日本にまで及ぶ。1874年春にモネ、ピサロ、シスレー、ドガ、ルノワール、セザンヌ等を中心とする画家が官展のサロンに対抗して団体展を開いた際、新聞記者ルロワがモネの「印象−日の出」をもじって彼らを印象派と呼んだ。印象派という名称はこのことに由来し印象主義という用語もそこから派生した。印象主義は写実主義を受継いで特に外光派の戸外制作を重んじ、かつマネに啓発されて明るい色彩を用いて外界の事物を光をあび、空気で包まれた印象として表現した。光の変化に応ずる色調の変化や空気のゆれ動きを効果的に描くために、固有色を否定し、筆触を小さく分割し、色調を原色に還元したことが技法上の特徴とされる。印象主義は必ずしも体系化された理論をともなわず、組織的にはゆるやかな結びつきにとどまったため、1880年代以降各画家の個性の進展と円熟にしたがい、またスーラやゴーガンなど新世代の登場ともあいまって多様化の様相を深めた。 画面右にこのキーワードの再検索結果が表示されています。そちらもご覧ください。 |
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