データベースを使った楽しいサービスです。文中のキーワードをクリックすると、解説文があらわれ、同時に検索結果が表示されます。ぐるぐるキーワードをたどって遊んでみてください。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
きいろのまどのあるまちのこんぽじしょん 黄色の窓のある街のコンポジション
初期のクレーは、綿描を主体にして、人物や擬人化された動植物を、ユーモラスにあるいはグロテスクに描く戯画的な作品を制作していた。 しかし、1912年に「デア・ブラウエ・ライター」に参加、カンディンスキーらとの交流が彼に転機をもたらす。とりわけ、1914年にマッケらと赴いた北アフリカのチュニジアで出会った明るい光と色が、彼を色彩の画家へと変ぼうさせた。本来持っていた、味のある素描力は、生涯にわたって随所に発揮されることとなるが、これ以降、クレーにとって色彩は最も重要な要素となる。 この作品は、チュニジア旅行以降の1919年の作である。ここでは、線はほとんど従属的な役割しか果たしておらず、色面が組み合わされることで画面が構成されている。色面の境界線は明確であり、一つひとつが画面の構成要素として独立している点に、タイトルにもあるようにコンポジション(構成)という制作意図がよく表れている。さらに、透明感のある水彩絵の具ではなく、不透明水彩絵の具のグワッシュを用いて色を塗り込んでいることから、色の輝きよりも色の組み合わせの妙に心をくだいたことが分かる。 ただし、色によるコンポジションとはいいながら、そこには、塔や窓、屋根や煙突といった具体的な対象物を思わせる部分もある。従って、完全に抽像的な形態から出発したのではなく、街の光景を分解して色面に置き換え、奥行きのない平面上に、モザイクのように配置していくことで制作されたことがうかがえる。 その際の配置には、コンポジションという語が作詞法や作曲法という意味を持っているように、ある規則的な体系が内在している。直角を主体にした幾何学的な色面の形態や、暖色と寒色の対比に補色による色の転調の組み合わせた配色が調和を生み出した。 そこに、一時期ベルン音楽協会のバイオリン奏者として活動したクレーの音楽的感性の反映を見ることもできる。
カテゴリー:作品
いまクリックまたは、検索したキーワードの解説
シュプレマティズムとは?【 美術用語 】 絶対主義と訳される。ロシアの芸術家マレーヴィッチが、ソビエト革命前後に提唱した抽象絵画の方法と哲学のこと。1915年にモスクワで刊行された「キュビスムからシュプレマティズムへ」が最初の宣言だが、バウハウス叢書の「非対象の世界」が理念の集大成であると言われている。絵画の再現性を否定し、純粋な感性を絶対のものとする非対象絵画を目指した。シュプレマティズムの抽象表現は、矩形・円・十字・三角形などの幾何学的要素から独自に画面を構築するタイプの抽象に分類され、自然の外観の分折や破壊によって形態を単純化し抽象的画面をつくり出す方向や、人間の情動を不定形な形態に込めるといったタイプの抽象画とは区別される。ロシアの前衛的美術のみならず、ヨーロッパの構成主義に与えた影響は大きい。 画面右にこのキーワードの再検索結果が表示されています。そちらもご覧ください。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||