モノグ
ラムは
ジャポニスムのごく一要素に過ぎないが、装飾美術などへの影響を語る上で不可欠である。西洋のア
ルファベットを使ったモノグ
ラムや、具体的な
モティーフの入った家紋などと比べて、日本美術に見られる落款や着物などに見られる家紋は、極度に
抽象され、
グラフィック・デザインとして優れていると見なされた。
アンリ・リヴィエール、ジョルジュ・オリオール等、多くのジャポニストたちが自らのイニシャルやトレード・マークの
モティーフを
抽象化したモノグ
ラムをデザインし、版画作品などに多く使用しているが、
シャデルもその一人である。
シャデルは版画家としての仕事の他に、20年以上ものジュエリー・デザイナーとしての仕事がある。このアルバムには、様々な昆虫の甲羅の幾何学模様等をモノグ
ラムへ
抽象化していく過程が記されており、アーティストが自然のどのような要素を
グラフィック・デザインへ取り入れていくのかが垣間見れて興味深い。(「世紀末から 西洋の中の日本「
ジャポニスム展」図録)