ヴァルタは同年に、
ロートレックと共にテアトル・デ・オーヴルの舞台デザインを手がけるなど、
ロートレックと親密な関係にあった。このカフェ・コンセールの何気ない描写にも、1893年の「ディヴァン・ジャポネ」のポスターに代表されるような、
ロートレックの大胆な構図の影響が見られる。画面の前面に観客の頭や帽子が大きく描かれ、主題であるコンサートの出演者は客席の塀で半分見えない。このような構図は、もともと
ロートレックが広重等の浮世絵作品にヒントを得て、自分の画風へと取り込んだもので、その間接的な影響が
ヴァルタの作品にも現れている。(「世紀末から 西洋の中の日本「
ジャポニスム展」図録)