作家名:
ラウル・デュフィ
制作年:1911年刊
技 法:木版 紙(39点)、補遺2点、テキスト
ギヨーム・アポリネール著。古くから、動物が主人公の教訓、寓話は数多いが、詩人アポリネールはそんな動物寓話を現代によみがえらせた。詩を書くきっかけは、若き
ピカソの木版による動物の版画だったが、挿絵は共通の友人である
デュフィが引き受ける。彼にとっては、挿絵をつけた最初の本。ギリシャ神話の神オ
ルフェウスの竪琴の音には草木や猛獣でさえ聞き惚れる。その詩に触発された
デュフィの挿絵は、やや生硬に見えるが、
木版画特有の白黒の対比を生かして力強い。それは、フォーヴィスムの作風と同時に、フランスの民衆版画(エピナール版画)を思わせる。
野獣派(フォーヴィスム)の一人と言われた
デュフィも、猛獣使いのオ
ルフェウスには挿し絵を捧げたのだ。日本でも堀口大學の訳により、
デュフィの挿絵付きで出版されている。(『動物詩集 又はオ
ルフェ様の供揃え』一九二五年 第一書房(一九七八年再版、求龍堂))(「本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで」図録 2002年)