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こえのために 声のために
ウラジミール・マヤコフスキー著。ロシア・アヴァンギャルドが指し示すものは幅広い。文学、美術、建築、演劇、デザイン、写真などの領域で、イタリア未来派、キュビスム、ダダ、デ・ステイル、バウハウスなどと交流した前衛芸術の巣窟。そのような様々な動きを最も良く特徴づけるのは、マレーヴィッチを中心としたシュプレマティスム(絶対主義)であり構成主義といえる。四角や三角などの抽象的な形態に神秘的な意味を担わせたマレーヴィッチの思想を、リシツキーは洗練されたデザインで現実化する。〈二つの正方形の物語〉は、四角と丸によって構成されている。赤の四角は新しい秩序を、黒の四角は旧態依然とした悪しき体制を表す。最後のページには円の中に赤い四角、すなわち革命のシンボル。明確な社会思想を主張する内容だが、実は子供向けの絵本である。〈声のために〉はマヤコフスキーの十三の詩篇をリシツキーが装丁したもの。詩人と画家の共同制作。声を出して読むための詩である。音を伴うことを前提とした詩句を、文字と線、記号による構成で視覚的なイメージに転換させたレイアウト、タイポグラフィの妙は見どころである。更におもしろいのは、一つの詩ごとに、ページの右側にインデックスが付けられていること。ページをとばして一挙に目的の場所まで到達できるという本ならではの特性を、意識的に具現化した形式である。これは、昨今のコンピューターが得意とするランダム・アクセスではないか。さらに、仮想的なコンピューターとは違って、確かな手応えのある物質性を備えている。(「本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで」図録 2002年)
カテゴリー:作品
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オブジェとは?【 美術用語 】 本来の意味は、「もの」、「物体」、「客体」のことであるが、もともと芸術とは無関係なもの、あるいはそれらのものの寄せ集めによって構成された芸術作品をオブジェという。また、その作品の構成要素であるものそのものを指すこともある。オブジェとしてのものには、自然に在在する物体や、人間がつくり出した既製品、既製品の部分があり、それらのものが、われわれの日常の感覚や意識を崩してしまうあり方で、作品として存在する。例えば、マルセル・デュシャンが初めて使用したレディ・メイドは、ダダの運動において既製品の本来の役割を否定することで、従来の秩序や価値の体系を破壊してしまおうとするためにオブジェが示された一例であるし、シュールレアリスムにおいては、オブジェはある内的なものの象徴として機能している。第二次世界大戦後は、工場から生み出される廃棄物が、オブジェとして多用されて、新たな展開をみせた。 画面右にこのキーワードの再検索結果が表示されています。そちらもご覧ください。 |
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