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こえのために 声のために
ウラジミール・マヤコフスキー著。ロシア・アヴァンギャルドが指し示すものは幅広い。文学、美術、建築、演劇、デザイン、写真などの領域で、イタリア未来派、キュビスム、ダダ、デ・ステイル、バウハウスなどと交流した前衛芸術の巣窟。そのような様々な動きを最も良く特徴づけるのは、マレーヴィッチを中心としたシュプレマティスム(絶対主義)であり構成主義といえる。四角や三角などの抽象的な形態に神秘的な意味を担わせたマレーヴィッチの思想を、リシツキーは洗練されたデザインで現実化する。〈二つの正方形の物語〉は、四角と丸によって構成されている。赤の四角は新しい秩序を、黒の四角は旧態依然とした悪しき体制を表す。最後のページには円の中に赤い四角、すなわち革命のシンボル。明確な社会思想を主張する内容だが、実は子供向けの絵本である。〈声のために〉はマヤコフスキーの十三の詩篇をリシツキーが装丁したもの。詩人と画家の共同制作。声を出して読むための詩である。音を伴うことを前提とした詩句を、文字と線、記号による構成で視覚的なイメージに転換させたレイアウト、タイポグラフィの妙は見どころである。更におもしろいのは、一つの詩ごとに、ページの右側にインデックスが付けられていること。ページをとばして一挙に目的の場所まで到達できるという本ならではの特性を、意識的に具現化した形式である。これは、昨今のコンピューターが得意とするランダム・アクセスではないか。さらに、仮想的なコンピューターとは違って、確かな手応えのある物質性を備えている。(「本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで」図録 2002年)
カテゴリー:作品
トレドとは?【 作家名 】 メキシコ、オアハカ州に生まれる。国立デザイン・工芸学校「ラ・シウダデラ」の自由版画工房に通う。1959年、テキサスで初の個展を開く。1960年ヨーロッパに渡り、パリでウィリアム・ヘイターの版画工房に学ぶ。1965年メキシコに戻り、油彩、版画陶器の制作の他、タペストリーのデザインも手がける。1981年から82年にかけて、陶器の制作のためにニューヨークに滞在する。その後、再びメキシコに戻る。洗練された中にも、インディオ文化に根ざすと思わせるような独特の形態と色調で、神話や動物などを描く。また、ブロンズ、木、土、亀の甲羅、カニのはさみなど様々な素材を用いた幅広い制作でも知られる。(「パリ・日本・メキシコ 埼玉県立近代美術館所蔵作品による」図録 1992年) |
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