形而上絵画とは、1917年にパリで提唱されたイタリアの美術運動の一つ。一般に、1915年から18年までの
ジョルジオ・デ・キリコ,カルロ・カッラ,
ジョルジオ・モランディの作品を指す。都市生活のダイナミズムを唱えた
未来派の後に、その反動として表われ、神秘的な風景や静物のなかにメタフィジカル(形而上的)な世界を暗示しょうとした。作品の上では、キリコの表現に代表されるように、
マネキンや彫像など様々な物体を、思いがけない取り合わせや奇妙な建築的透視空間の中に置くことで神秘的な雰囲気をかもし出すものが多く制作された。そのなかでもカッラは、線や色の視覚的特質により関心を示し、
モランディは「
形而上絵画を聖化した」と言われる静謐な静物画を追求した。グループとしての
形而上絵画は、第1次世界大戦後長くは続かなかったが、キリコを通じてシュル・
レアリスムの作家たちに与えた影響は大きい。