版画技法。
銅版画は、凹版を製版する技法によって直刻法と酸腐蝕法に大別できるが、これは後者の内の一つ。銅板に砂糖とアラビアゴムの混合溶液で描画し、その上にグラウンド(防蝕剤)をひき、湯にひたすと描画部のみグラウンドが持ち上げられ銅板を露出する。後は
アクアチントの工程に同じ。
アクアチントでは描画されなかった部分を腐蝕させるのに対して、この技法では描画した通りに腐蝕させて、
アクアチントの階調を活用できる。筆などで自由に描画できるので、筆勢を出せるし幅広いタッチを表現できることが最大の特徴である。18世紀にイギリスの
ゲインズバラが創案したとされる。20世紀に入いると、
ピカソ、
ミロ、
ルオー等、極めて多用されている。ところでこの技法は、描いた部分のグラウンドがはがされて腐蝕されるという点で、ニードルではなく筆による
エッチングとも言える。砂糖がグラウンドを「持ち上げる(リフト)」ことから、別名リフト・グラウンド・
エッチングと呼ばれるのはそのためである。