1980年代に入ってからの現代美術の新しい傾向の一つで、一般にはその表現的な性格から、新
表現主義(Neo−expressionism)といわれているもので、これがイタリアでは、
トランス・アヴァンギャルディアとよばれている。1960年代以降の
ミニマル・アートや
コンセプチュアル・アートなどのように、芸術はしだいに観念的な傾向を色濃くしていたのだが、その偏った傾向により、造形的に貧弱なものになりつつあった。そのことへの反動として、
トランス・アヴァンギャルディアにおいて作家たちは、色彩や形態などの点で、自由で具象的な傾向を前向きに表現しようとする姿勢を示した。これは過去の
表現主義やフォーヴィスムを見直すことによって、作品の中に野性的な活力をみなぎらせようとしたもので、粗野で素朴だが荒々しい魅力に満ちていた。