19世紀の後半に、風景画家達がよく訪れていたフランスのブルターニュ地方にあるポン=タヴェンという小村に、1880年代の後半になって住みついた画家達のグループがあった。その中心人物は
ゴーギャンであり、彼は1886年、88年、89年、94年の4回にわたって当地を訪れている。そして実質的な立役者は若きエミール・
ベルナールであった。
印象主義の分析的な考え方に対して、彼らは総合主義を提唱し、クロワゾニズムの手法を用いた。つまり、太い輪郭線で平面を仕切り、平らで単純な色面を配置することによって画面をつくり上げることである。このような作風の彼らをポン=タヴェン派と呼ぶが、当地に集まった画家達を広く指すこともある。また、彼らはのちの
ナビ派と共に
象徴主義としてとらえられており、より神秘的な
ルドン、モロー、
クリムト、アンソールらの世紀末美術との関係も興味深い。ポン=タヴェン派の画家として、上記の2人の他に
ナビ派の代表者ポール・セリュジエや、
アンリ・モレ、シャルル・ラヴェル、ルイ・アンクタンらの名を挙げることができる。