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幼稚園・保育園・こども園と美術館の連携事業

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2019-03-16

「アートの日」-保育所と美術館の連携事業-

2015年に刊行した、開館25周年記念「人間表現を楽しむ25のとびら展」ワークショップ・協働プロジェクト報告書の抜粋冊子です。

2019-03-15

実践事例 魔法の水絵の具

-大地(園庭)はキャンバス

岸上 学(おおぎ認定こども園)

「よ~し、絵を描こう!!」と思い立った時、私たちはどんな素材を思い浮かべるでしょうか??
 一般的には、まず、「白い画用紙を用意して…」「マジック、マーカー、クレヨン、絵の具などを用意して…」と考えがちです。
 もちろん、間違いではありません。しかし、ここで紹介したいのは、子どもたちの、自由で柔軟な「発想」であり、「視点」です。「雨(雨水)」を使って絵を描き、描くものを「園庭(大地)」にしたのです。

前日、クラスで手形スタンプ遊びをして、紅葉した葉っぱの壁面環境作りをしていました。この日(2018年10月24日) は、朝まで雨が降っていました。10時過ぎに園庭へ出てみましたが、水たまりがそこかしこにある状態でした。少しすると日も差し始め、ぽかぽかと暖かくなってきました。そして、一人の女児が水たまりを使って、手形スタンプができることを発見し、遊びはじめました。


「きっしー先生見て!!」
「昨日したよ」(手形スタンプ遊び)
(昨日は色がついていたが、水(雨水でもできることを発見)
「ハート」
「うわぁ、ホンマ、ハート(^-^)」
「こうしたら、四つ葉のクローバー」
(こう言いながら、手形を二つ増やしました)
「本当だ!クローバー!」
(周りにいた友だちも、昨日のスタンプ遊びを思い出し、一緒に遊びはじめました)


足形にチャレンジするも、どうもうまくいきません。歩いているうちに水分がなくなり、足形スタンプをしたい場所(空白地)まで雨水が持たないことに気が付き、ジャンプすると上手くいくことを発見しました。
 「きっしーもやってみ!」「うん、やってみる!」「きっしーの足おっきい!」。足の大きさの違いに気付きました。すると、その姿を見ていた、他の子も遊び始めました。そんな時、隣でそっと見ていた一人の女児。指を筆に見立てて、自分の手形、足形に線を書き加え、「かたつむり」を描きました。「雨降ってたから、出てきたよ」(経験・発想)。
 これを見ていたまた違う女児が思いついたように走り出したのです。保育教諭が、もしかしたら「筆を探しに行ったのかも」と後を追ってみると(バレないように…)、筆を手に振り向いた女児と目が合ってしまいました。「見つかってしまったΣ(゚Д゚;≡;゚д゚)」と固まる女児。「いいよ」っと、「OK」を出すと、(ものすごく笑顔で…)走ってみんなの所に戻って行きました。
 筆やブラシを受け取ったみんなは、思い思いに描き始めました。周りで見ていた友だちもその面白さにひかれ、次々に集まってきました。地面がキャンバスとなっていく瞬間でした。その素材の違いに気付き、色々な描き心地(キャンバス)を試してみる姿がありました。
 テラスのギザギザタイル(滑り止め入り)?コンクリート(加工無しのそのまま)?園庭の地面(真砂土、砂)。そして、一人の女児が、コンクリートに描いたとき「かいてもかいてもすぐ消えるー!!」と、怒りはじめました。すると、この遊びを1番最初に始めた女児が、「〇○○ちゃん、これは “ みずえのぐ ” なの。かいてもすぐに消えちゃうこともあるの。不思議でしょう」。


「ふーん、そっか、 “ 魔法 ” みたい!」(納得する)

女児の怒り(不思議さやもどかしさ)は友だちの柔軟な発想で「発見」に変わりました。また、「大きなながいヘビをかきたい」という、Sくんの気持ちやイメージを共有共感し、一緒に遊び込んでいく姿が見られました。

「おおきいよ」「長いよ」「ほんとだ、長くておおきいなあ。」

Sくんがこんなにダイナミックに周りを気にせず、むしろ先頭に立ち、自ら遊んだのを初めて見ました。
 「水絵の具」「不思議」「消える」「魔法」「納得」「大きく長いヘビ」「どこまで描けるのか」「共感共有」「やってみる」「子どもの気づき」「地面がキャンバス」などキーワードをたくさん発見する事が出来ました。

その次の日…。栽培用のじょうろを見つけて、何やら自分の周りに水をまき始める、Sくん。「お風呂だよ。(笑)」「もっと、お湯入れろ~」。

 昨日、一緒に「ヘビ」を楽しんだ友だちが合流し、また遊びが始まりました。今日は、25M(メートル)クラスの長~いヘビが出来上がりました。
 この日の夕方、再び、始まる「水絵の具」。朝の「ヘビ」は蒸発し、キレイに跡形もなく消えていました。午前中、製作遊びで「クリスマスの靴下」を作った体験を思い出しながら…その余った材料を持って来て飾り付け、大きな「靴下」を作り始めました。

「これで、たくさんプレゼントもらえる~。(笑)」っと。



すると、別の場所では、園庭に(キャンバス)大きな「家」を描きはじめました。(サンタさんが来てくれる~。(笑)」っと。更に、自分の自宅にあるであろう「家具」を描き足していき、お風呂、こたつ、テレビ、ソファー…など。

「車」
「できた~!!」
「よ~し、運転だ~!!」
「リビングとあらば…寝てみましょう」
「ああ~気持ちいい」(イメージを共有する。)
(普段は使わない、非常階段2Fから園庭を見てみる。)
「上から見たら、凄~い」
「初めて、ここから、お庭見た。面白い~」
それを見ていた友だちが、「なぁ、なぁ、俺たちも入れて~」「何か面白そう」と、参加し遊びが繋がり、広がっていきました。


このように、アートの視点というのは、先生(大人)が、導き、教えるのではなく、子どもたちの日々の生活のなか、遊びのなかにこそあり、それを先生(大人)が、感じ取り、共感し、認め、受け入れ、気づき、共に楽しむものなのではないでしょうか。
 四角い白い紙の上、という先入観を一度忘れてみてはいかかでしょうか。

(きしがみ まなぶ)
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「アートの日」についてのご質問はお電話で。
これから取り入れてみたいとお考えの先生はぜひご連絡ください。
TEL 088-668-1088 (9:30-17:00) FAX 088-668-7198
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