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各審査員講評(2013)

安達一樹(徳島県立近代美術館上席学芸員)
 美術館の安達でございます。大体皆さん、審査員の先生方が言っていただいてしまって、いつも最後で言うことがあんまりないのですが、と言いながらまず、ちょっと辛口で。今回、受賞の方も含めて作品のオーラというか、作品の力が、出品規定の5メートル以内になってしまっている作品、要するに、(手振りを交えながら)フーッと来て手前で落ちてしまうような作品が多かったように思います。

 それともう一つは、非常に個人的なところに落ちてしまう、中に閉じてしまう作品が多くて、それぞれ魅力的ではあるのですが、「はい」って分かって、その後ちょっと広がらない。やっぱりチャレンジという展覧会の性格からすると、自分自身を出すのも大事ですけれども、また見せるだけでもチャレンジだと思いますけれども、さらに多くの人々にうったえるとかいうのがあると、いいなと思います。その点でいくと、MIP(モーストインプレッシブプレイヤー)賞の蓮花くらぶさんは、問答無用でオーラを出していたので、見て、「おおっ」というだけで賞をあげたくなったというところです。特にどうこういう理由はあまりなく、私は賞に挙げてしまいました。そういうところがよかったのかなと思います。

 その後、奨励賞が、これが実はかなり激戦でして、大変だったのですが、その審査の過程でチャレンジとは何か、どういうところをチャレンジと評価するかということについて、いろいろな意見が出たのは良かったかと思います。

 ひらたるんさんは非常に良く知られている、もう活動されている方で、今までも何回も出されているわけですが、これまではチャレンジということにとらわれて失敗してきたことが多かったようでした。今回は自分のできることできっちりまとめられたっていうのが、私は良かったと思います。大きなところを小さなシゴトにまとめられたっていうのが非常に良かったかなと思います。

 順番が後ろからになっているのですが、熊野さんは、これ意見が色々沢山出ました。将来性という点で評価されたと思ってください。ですから、現状であれが良いという風に思ったら終わってしまいますので、問題のあるところを色々自分でも考えて、審査員のみなさんも、多分、将来性ということで期待してのことだと思いますので、この賞は「次」が試される「賞」だと思って頑張ってください。

 それから次がHiro.さんですね。Hiro.さんのタイプは、チャレンジの出品作品にこのタイプの作品は少なくて、ちゃんと油絵を描こうというところで、このチャレンジという有象無象のチャレンジャーの中に来たことっていうのが評価されたと思います。作品の質もそれなりにちゃんとあったと思いますので、これからも着実に頑張っていただきたいなと私は思います。

それから書道ですね、石田さんですね。書の評価は難しいというお話がありました。私も美術展評をさせていただいている関連でいろいろな発表を見せていただいていますが、書としての評価というのは、はっきり言って分かりません。でも、何か不安な心持ちが、不安な心持ちのままオーラとなって出てきているのがよかったということで、私はいいかと思います。が、これも二度と通用しないので、一回目だけですのでよく頑張ってみてください。

 あとはグランプリですね。グランプリがあかまつさんですね。質もいいっていうことではみんな多分、点が高かったと思うのですが、私の感想でいくと無難にまとめたっていうところで、マイナス点が少なかったのかなという気がするんですね。そうだと、他の審査員の方もそれぞれこう点を入れていくと、結果的にマイナスが少ないので高得点になったと。グランプリの人にはちょっと申し訳ないのですけども、きちんとシゴトされているので、それで沢山点がとれたっていうこともあるわけですが、それ以上の広がりに何ができるかということになりますので、その辺を考えて、深めていただくと、さらにこのチャレンジ以上のレベルへいける可能性はあると思います。今のかたちで自己中心的に終わってしまうと、このレベルで終わってしまうので、そうしたら非常にもったいないし、チャレンジでグランプリっていうこともちょっと残念ですので、これからのチャレンジのためにも、さらによく考えて頑張っていただけると、ありがたいです。

 すみません、長く話してしまいましたけれども…。その他に私の個人的によかったかなぁと思う人は、染織の萩野百合子さん。このシゴトは目立たないのですけれども、多分、大変なシゴトを重ねて作っている作品だと思うんですね。ですので、その技術っていうのか、根気と技術はやっぱり頑張ったと思います。ただ、見せ方が普通になってしまって、そうするとチャレンジみたいなところではちょっと損かなぁと思いました。

 それから、科学技術高校のみんな(科技高のみんな)ですね。私は美術館を職場にしていますので、作品を毎日見ることになるわけです。日によって、点いていたり消えていたりする部分がありました。やっぱり、科学技術高校という点でいけば、安定した技術がやっぱり欲しいなぁと思いまして、ちゃんとずっと点いていたら、もうちょっと高得点をねらえたかなと思いました。

 あと、Yuriさんですね。いっぱい沢山貼りつけた人。あれも、貼りつけたのはよかったのですが、一つひとつ写真にちょっとこう、小さなちょこちょこと細工をしているような気がみえて、小さな細工がなくてもっと大きくワーッといけたらよかったかなと私は思います。すみません、長くなりましたが以上です。
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