徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
学芸員の作品解説
青い十字
1965年
木版 紙
74.5×61.2
1965年
木版 紙
74.5×61.2
吹田文明 (1926-)
生地:徳島県阿南市
生地:徳島県阿南市
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吹田文明青い十字
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この執筆者の文章
吹田文明 「青い十字」
竹内利夫
徳島師範学校(現徳島大学)に学ぶ。1948年徳島県の研究派遣生として、東京芸術大学に学ぶ。1957年の日本版画協会展で思地賞を、翌58年協会賞を受賞し会員に推挙される。各地の国際展に出品し、1967年サンパウロ・ビエンナーレ展で最高賞を受賞した。星座、花火、花、蝶などのモチーフを抽象的に表現する。水性絵具と油性絵具を木版プレスで摺り重ねることで、洗練された深味のある色彩を作り出している。1969年に多摩美術大学教授、94年には日本版画協会理事長に就任。1955年ころから紙版やひも、木切れによる版画を試しはじめた。教師時代の教材研究から出発したことが幸いしたというべきだろう。当初から材料や版画の効果に対して柔軟な姿勢で取り組んできた。やがてベニヤ板を目立ててギザギザにした面、ドリルで開けた穴、油性インクと水性インクの色彩の対比、といった今日の作風に連なる技法を見いだす。
この作品はサンパウロ・ビエンナーレ展で受賞した際の出品作である。花火か星の誕生を思わせる深い空間は吹田がこだわって止まないテーマの一つである。細かい織物のような黒の世界と、透明な色合い、そして白く光る点が絵を作っている。明快な刷り重ねの方法によって、勢いのある画面が構成されている。
特別展「コレクションでみる 20世紀の版画」図録 第1部 戦後の展開 3. 日本の活況 (2)刷新者たち
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫