徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
時の浸食
1979年
メゾチント、アクアチント、エッチング、ドライポイント 紙
39.5×49.3
麻田浩 (1931-97)
生地:京都府
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麻田浩時の浸食
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麻田浩 「時の浸食」

竹内利夫

 1931年京都府に生まれる。はじめ油絵を制作し、1954年から新制作協会展に出品、62年新作家賞を、67年協会賞を受賞して68年会員となる。1971年初めての個展を開催し、シェル美術賞展、安井賞展などに出品した後パリに移り、72年フリードランデルのもとで銅版画をはじめる。
 水滴や地表面など微細なものを凝視し、各種の銅版画技法を活用した密度の高い心象風景を描き出すことで知られる。
 〈時の侵食〉というタイトルからも連想されることだが、銅版画による色彩表現は麻田の場合、多少古めかしい色合いを醸し出すことに上手く働いており、どこか懐かしい心象を呼び起こしている。
特別展「コレクションでみる 20世紀の版画」図録 第1部 戦後の展開 3. 日本の活況 (3)その後の展開
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫