徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
学芸員の作品解説
角ばった肩の生きもの
1974年
彩色メタル
190.5×96.5×68.6
1974年
彩色メタル
190.5×96.5×68.6
アレクサンダー・コールダー (1898-1976)
生地:アメリカ
生地:アメリカ
データベースから
コールダー角ばった肩の生きもの
他の文章を読む
作家の目次
日本画など分野の目次
刊行物の目次
この執筆者の文章
他のよみもの
所蔵作品選1995
アレクサンダー・コールダー 「角ばった肩の生きもの」
安達一樹
アレクサンダー・コールダーは、動く彫刻「モビール」を始めた人として有名です。このモビールという名前は、マルセル・デュシャンによってつけられました。これらはバランスの力学的な原理を利用した作品で、簡単にいえば、針金の両端に金属の板や針金を次々と吊るしていったものです。赤、黄、白、黒など様々な彩りの金属板が、空中を、微妙に均衡を保ち、ひとつひとつは単純な、しかしそれらがいくつも組み合わさって複雑な軌跡を描きながら動いていく様子は、幻想的ともいえる空間、時間を生み出しています。一方、コールダーは、金属板の組み合わせによる動かないモニュメンタルな作品も作っています。これらはモビールに対してスタビルと呼ばれますが、彫刻家のジャン・アルプによって名づけられました。モビール、スタビルのいずれにしろ、伝統的な彫刻の持つ重量感から離れ、軽妙な空間表現となっています。これは、陽気で無邪気なコールダーの性格と、彼が学んだ機械工学の技術と知識が結びついて生まれたもので、実にアメリカ的な芸術といえるでしょう。
コールダーがこのような抽象彫刻の道を歩みだしたのは、1930年にモンドリアンのアトリエを訪ねたのがきっかけですが、それ以前は、パリで針金によるカリカチュアやサーカス人形の作品を作っていました。それらは軽妙な動きと遊びごころで親しまれ、コールダー自身「針金の王様」とよばれています。また、ブロンズによる人形や、金属板によるねずみや鳥、急など、玩具ともいえるような作品も作っており、固定的な芸術作品の概念をはるかに超えた世界を展開させています。
この〈角ばった肩の生きもの〉は、コールダーの晩年の作品で、1974年の個展「1974年のクラッグ(岩山)とクリッター(生き物)の作品」展に出品されました。スタビルに見られる空間性と、軽妙な遊びごころとが一緒になった愉快な作品です。
徳島県立近代美術館ニュース No.2 1991.3 表紙作品解説
1991年3月31日
徳島県立近代美術館 安達一樹
1991年3月31日
徳島県立近代美術館 安達一樹