徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
レバー
1992年

172.0×62.5×32.5
アントニー・ゴームリー (1950-)
生地:イギリス
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ゴームリーレバー
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所蔵作品選1995

アントニー・ゴームリー 「レバー」

安達一樹

 徳島県立近代美術館のコレクションのうち、海外彫刻作品をみてみると、点数こそ多くはありませんが、現代イギリス彫刻にまとまりがみられます。
 現代イギリス彫刻の出発点といわれるヘンリー・ムーア(1898-1986)や、彼と並ぶ女流彫刻家バーバラ・ヘップワース(1903-75)、ムーアの次の世代にあたる、1950年代から活躍するリン・チャドウィック(1914-)とケネス・アーミテジ(1916-)、60年代以降のフィギュラティブな彫刻作家のひとりであるジョン・デイヴィーズ(1946-)、60年代半ばから70年代以降、傑出した手技と想像力をみせるバリー・フラナガン(1941-)、80年代に登場したニューブリティッシュスカルプチュアと呼ばれる新世代のアントニー・ゴームリー(1950-)と、各時期のトピックとなる作家が顔をそろえています。
 彫刻作品は、美術館のロビーと屋外展示場に、常に展示されています。
 常設展示室の入り口をはさむようにして、二つの作品があります。ひとつは、ヘンリー・ムーアの着衣の横たわる母と子」(1983 ブロンズ)で、もうひとつは壁に取り付けられているアントニー・ゴームリーの「レバー」(1992 鋳鉄)です。これらの作品は、どちらも人間と自然をテーマにしています。しかし、その表現は、作家の属している時代を反映してかなり違ったものとなっています。自然のフォルムの導入による新たな人体造形の幕開けと、新しい時代の内なる自然としての人間。人の形をめぐる表現の可能性は、私たちの時代とともにあります。
 (ケネス・アーミテジは2002年に亡くなりました。なお、2004年現在、アントニー・ゴームリーの「レバー」の展示方法は変更されています。)
毎日新聞 (四国のびじゅつ館) 学芸員が選ぶ14
1995年9月30日
徳島県立近代美術館 安達一樹