- 【前売り】一般 1,000円
- ※前売券は、徳島新聞社事業部、徳島新聞各販売店、平惣全店、フジグラン各店舗(阿南・北島・石井)、文化の森ミュージアムショップ、ローソン・ミニストップ店頭Loppi[Lコード:64079]、ローソンチケットhttps://l-tike.com/、セブンチケット(セブンコード:107-250)https://7ticket.jp/s/107250
【ところ】 徳島県立近代美術館
【主催】 エミール・ガレ徳島展実行委員会/徳島県/徳島新聞社
【後援】 NHK徳島放送局、四国放送株式会社、エフエム徳島、(公財)徳島県文化振興財団
【協力】 ベル・デ・ベル
【企画協力】 アートプランニング レイ
19世紀末ヨーロッパに花開いた装飾様式「アール・ヌーヴォー」の巨匠エミール・ガレ(1846-1904)は、草花、昆虫など自然をモティーフにした美しい曲線と鮮やかな色彩が特徴のガラス作品を数多く制作し、ガラス工芸を芸術に高めた革命児でした。
文学、哲学、音楽、植物学、鉱物学などに通じ、歴史主義、ジャポニスム、象徴主義、世紀末ベル・エポックへいたる激動の時代と共に歩み、革新的な創造力を発揮したガレは、モダン・デザインの源泉に位置付けられる重要なアーティストといってよいでしょう。
本展では、自然美の奥深い魅力と深い精神性を表現したアール・ヌーヴォー期の代表的ガラス作品、陶器、家具、ランプなど多彩な制作を、国内の個人コレクター所蔵の貴重な作品を中心に紹介し、その豊穣なガレ芸術の全体像を一望します。
園芸家としても知られ、自然美への憧憬と人間の魂の表現をガラス芸術に注ぐ一方、芸術とデザイン経営の狭間に激しく揺れ動いたガレの正直な生き方は、今日一層気になる存在です。自然との共生を模索し、人間社会の持続的な未来を願う現代の私たちに、大きな勇気とヒントを与えてくれることでしょう。自然豊かな文化の森の美術館で、ガレの美への情熱との出合いをたくさんの方に体験していただけることを願ってやみません。
自然を愛したガラス芸術の天才
19世紀末の装飾様式「アール・ヌーヴォー」の巨匠ガレの展覧会を開催します。ガラス工芸の魅力だけでなく、ガレが命を燃やしたデザインへの情熱を感じていただける展示になっています。
エミール・ガレ(1846-1904)は、フランス北東部の都市ナンシーで、ガラス器や陶器を製造、販売していたガレ家の長男として生まれました。語学、文学、哲学、音楽、植物学など幅広い素養を身につけ、ドイツでデッサンや型のデザインも学びました。そしてデザイナーとしての修業を経て父の会社に加わり、経営を引き継ぐようになります。
アイデア無尽蔵
展覧会は3章構成です。最初のコーナーでは、古代ギリシャやロココなど過去の様式やジャポニスム(日本趣味)をヒントに様々な趣向を凝らした製品を紹介します。19世紀の装飾美術の流行を一望するかのようであり、その自由自在な才覚に驚かされます。気鋭の工芸作家のデビューです。
格調高い《花器(ニンフ、唐草)》は、エナメル彩色の絵付けが主流である当時の風潮に逆らった、繊細な彫刻表現が魅力的です。《猫型置物》はロングセラー商品だったとか。若々しい想像力と遊び心、絵付けの品位にも注目です。
ジャポニスムの作例もたっぷり。私たち日本人にとって、もはや過去のものとも言える日本の美意識とヨーロッパの目線との融合には、興味深いものがあります。
思索するデザイン
展覧会の第2章では深化していくガレの世界に注目します。31歳で父の会社を引き継ぎ、実用品をつくる一方で、ガレは新しいガラス成形技術や、深い世界観を表現に込めた意欲作を発表し頭角を表します。1878年「エミール・ガレ」の商標でパリ万国博覧会に出品し、ガラスと陶器の部門でメダルを獲得し注目されます。1889年万博ではガラス部門グランプリ、1900年万博ではガラスと家具の部門でグランプリを得て大活躍します。
《飾り棚(エリンギウム)》はジャポニスム風のシルエットに大胆な花や枝葉のデザインがあしらわれます。パネルには象嵌細工で陽光を浴びて咲く花の情景。そして詩の一節が刻まれています。「その瞬間は我々の心の奥深くにある光であって、実に美しい」。
ガレのガラス器には詩文が入った「ものいうガラス」と呼ばれるシリーズがあり賛否両論の注目を集めます。数々の賞を受け、一層の芸術的な深化をガレが求めた背景には、当時、文学から音楽、美術まで広く流行した象徴主義の思潮がありました。人間の内面的な苦悩や夢想など目に見えないものを追求する芸術観が、ガレをとらえたのです。「悲しみの花瓶」シリーズの黒ガラスによる革新的な表現はその成果で、工芸分野における精神的な表現の可能性を開拓しました。
花への愛
ガレ芸術を特徴づけるのは何といっても花でしょう。彼は熱心な園芸研究家であり、自宅の広大な庭園に各種の植物を集めました。植物のあるがままの姿を尊重するまなざしは、彼のデザインにも反映されます。展覧会の第3章はアール・ヌーヴォーの中心的作家として活躍し、孤高の境地とも言われる技の極みをご覧いただきます。
《花器(オダマキ)》は器自体が花弁の姿になっており、何種類ものガラス技法を駆使して花が咲き誇る情景を描いています。《花器(プリムラ)》では、薄いレリーフ状の花柄に彫りのタッチを活かして立体感と艶めかしさを生み出します。あえて古色を加え、生まれては朽ちていく自然の深遠さを感じさせる演出は、まさにガレの真骨頂です。《花器(バラ)》はドイツとの戦争で奪われた故郷ロレーヌに咲くバラを痛ましくも健気な姿に描きます。
「私たちの根源は森の奥深くにある」と彼は語りました。命に優劣を付けることなく、蛾やトンボといったはかない生命体を好んでモティーフに選び、晩年は海洋学に関心を寄せ未知の海洋生物も題材にしました。
ガレ芸術を特徴づけるのは何といっても花でしょう。彼は熱心な園芸研究家であり、自宅の広大な庭園に各種の植物を集めました。植物のあるがままの姿を尊重するまなざしは、彼のデザインにも反映されます。展覧会の第3章はアール・ヌーヴォーの中心的作家として活躍し、孤高の境地とも言われる技の極みをご覧いただきます。
《花器(オダマキ)》は器自体が花弁の姿になっており、何種類ものガラス技法を駆使して花が咲き誇る情景を描いています。《花器(プリムラ)》では、薄いレリーフ状の花柄に彫りのタッチを活かして立体感と艶めかしさを生み出します。あえて古色を加え、生まれては朽ちていく自然の深遠さを感じさせる演出は、まさにガレの真骨頂です。《花器(バラ)》はドイツとの戦争で奪われた故郷ロレーヌに咲くバラを痛ましくも健気な姿に描きます。
「私たちの根源は森の奥深くにある」と彼は語りました。命に優劣を付けることなく、蛾やトンボといったはかない生命体を好んでモティーフに選び、晩年は海洋学に関心を寄せ未知の海洋生物も題材にしました。
ガレと時代
19世紀後半、歴史様式や異国趣味の折衷にとらわれていた装飾美術を改革し、新時代のデザインを求める思潮が展開しました。その変革のターニングポイントとなったのがアール・ヌーヴォーの流行です。生きとし生けるもの生命感、人間の想像力をいまいちど呼び込むことでデザインの歴史は大きく動きました。ガレはその時代とともに歩みました。
鉄やガラスなどの新素材を生かし自在な造形を試みたのもアール・ヌーヴォーの特徴です。そのためガラス作家ガレの存在は、この動向を象徴するような面も背負っているように思われます。
文学や絵画と肩を並べ、自らの思想や世界観を表明する場として作品発表に打ち込み、会社経営者として職人たちと製品開発にあけくれ、ナンシーの工芸界、園芸の分野に指導的役割を果たしたガレ。全てに正直に打ち込んだその生き方は、自然との共生を模索し、変化する時代を生きる現代の私たちに熱いエネルギーと勇気を与えてくれるのではないでしょうか。
《猫型置物》
1865-90年代
松江北堀美術館藏
かわいい陶器の置物。眼球はガラス。
ロングセラー商品だったとか。
《飾り棚(エリンギウム)》
1896-98年頃
松江北堀美術館藏
陽をあびて咲く花と森の情景を象嵌細工で表現。自然をうたう詩も彫り込まれて。とにかく自然が好きだったんですね。
《花器(オダマキ)》
1898-1900年
ヤマザキマザック美術館蔵
花がそのまま器の形に。様々なガラス技術をこらした絵柄は、自然の風景を眺めるような重厚さです。
《花器(プリムラ)》
1900年頃
個人蔵
何層も重ねたガラス地に古色を加えた幻想的な背景。彫刻の立体感にこだわり、植物の生命力を感じさせる演出は、まさにガレの真骨頂。
《ランプ(リンドウ)》
1902-04年頃
個人蔵
リンドウの花の電気照明。
寝室にあったら素敵ですね。
《花器(ニンフ、唐草)》
1880-86年頃
個人蔵
繊細なグラビュール彫刻。
可憐で格調高い。
《蓋付瓶(ブドウ)》
1900-02年頃
ポーラ美術館蔵
フランス大統領からロシア皇帝に贈呈されたモデルだそうです。透明感のあるガラス地の色彩もブドウの彫刻も見惚れてしまいます。
《花器(バラ)》
1901年頃
大一美術館蔵
フランスのバラと呼ばれる逸品。普仏戦争の敗北により奪われた故郷ロレーヌへの思いを込めています。
催しに手話通訳や要約筆記をご希望の方は、2週間前までにご相談ください。
ガレ展・特別観覧ツアー
10月12日[土] 9:40~10:15 展示室3(2階)スペシャルトーク
10月12日[土] 14:00~15:30 展示室3(2階)講師:鈴木潔(本展監修者・美術史家)
ガレ入門ツアー
10月14日[月・祝]、20日[日]、11月4日[月・振休]、11月17日[日] 14:00~ 約30分ロビー・展示室3(2階)
進行:美術館スタッフ
こども鑑賞クラブ「ガラスの森」
11月16日[土] 14:00~14:45 展示室3(2階)進行:美術館スタッフ 対象:小学生(保護者同伴可。観覧券をお求めください)
展覧会場 定員30人程度 電話で申込(先着順)当日参加も可 無料
一般 1,200円[1,000円]/高・大生800円[640円]/小・中生600円[480円]
[ ]内は 20 名以上の団体料金。
- 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳等をご提示いただいた方とその介助者1名、未就学児は無料。
- 小・中・高生は、土・日・祝日・振替休日、学校の夏休み期間は無料。
- 学校教育活動の団体は無料(申請が必要)。
JR徳島駅からバス利用
- 徳島市営バス3番のりば「文化の森」行き直通バスに乗車し18分、終点「文化の森」で下車
- 徳島市営バス3番のりば「市原【国道55号バイパス(ふれあい健康館・富田橋通り)経由】」行きに乗車し25分、「文化の森」で下車
- 徳島市営バス2番のりば「法花【文化の森経由】」行きに乗車し16分、「文化の森」で下車
- 徳島市営バス3番のりば「しらさぎ台」行き、「一宮」行き、または「天の原(入田)」行きに乗車し16分、「園瀬橋」で下車。徒歩約10分
- 徳島バス4番のりば「仁井田西」行き、または「佐那河内線 神山高校前」行きに乗車し16分、「園瀬橋」下車。徒歩約10分
JR文化の森駅からバス利用
- バス停「文化の森駅東」から「市原【国道55号バイパス(ふれあい健康館・富田橋通り)経由】」行きに乗車し7分、「文化の森」で下車