

徳島県立近代美術館は1990年11月3日に開館し、今年で開館35周年を迎えます。当館では、「人間」をテーマとする近代・現代の絵画や彫刻、「現代版画」、そして「徳島ゆかりの美術」という3つの柱に基づいて作品の収集を行っています。
本展ではその中から「人間像コレクション」と学芸員の仕事に焦点をあて、全館を用いて展示します。当館には、ここでしか見られない個性的な作品が集まっています。そうした愛しき「人間像コレクション」=「キミ」と、学芸員たちはどう関わっているのでしょう。一般的に学芸員の仕事として挙げられる「収集」「保存」「調査研究」「展示」「教育普及」の5つの章を設け、仕事のなかで発見したことやエピソードなどと共に「キミ」の魅力をご紹介します。
(展示・掲載している作品は全て当館蔵)
収集キミがほしい
当館の収集活動が始まって40年が経ちます。昨年度までに収集されたコレクションの総数は10,000点(二次資料含む)を超えるまでになりました。この章では、開館前の準備室時代に集められたものから、近年収集したものまで、当館における収集活動の変遷を概観します。
出品作家:パウル・クレー、パブロ・ピカソ、奈良美智、棟方志功、村上早ほか



左下:村上早〈嫉妬ーどくー〉2020年 (展示期間:4月26日~6月29日)
右:棟方志功〈版画集〈耶蘇十二使徒板画柵(不来方頌、大恩世主十二使徒板画鏡柵)〉1. アンデレ 案出禮の柵〉1953年 (展示期間:4月26日~6月29日) 上:パウル・クレー〈子供と伯母〉1937年
中:村上早〈嫉妬ーどくー〉2020年 (展示期間:4月26日~6月29日)
下:棟方志功〈版画集〈耶蘇十二使徒板画柵(不来方頌、大恩世主十二使徒板画鏡柵)〉1. アンデレ 案出禮の柵〉1953年 (展示期間:4月26日~6月29日)
保存キミを未来に残すために
美術館の大きな役割に作品の「保存」と「活用」があります。展示公開をせず収蔵庫の中に安置しておけば作品の劣化などを抑制することができますが、みなさんに見てもらうことができません。作品を良い状態で後世に残すため、学芸員たちは日々「保存」と「活用」のジレンマを抱えながら作品とつきあっています。この章では、美術館における作品の保存の工夫や、近年の修復事例についてご紹介します。
出品作家:パブロ・ピカソ、尾藤豊、山下菊二ほか


右:尾藤豊〈復活〉1961年 上:山下菊二〈憑憑CUBA〉1968年
下:尾藤豊〈復活〉1961年
調査研究キミのことをもっと知りたい
調査研究は学芸員の仕事の基本です。具体的には、作品や作家に関する資料を読んだり、作品をすみずみまで観察したりします。また、作家や遺族から直接お話を伺ったりすることもあります。そうした地道な努力があって、展覧会企画や論文、作品収集に結びつくのです。この章では、調査研究の重要性と取り組みについてご紹介します。
出品作家:伊原宇三郎、石丸一、黒崎彰、幸田暁冶ほか


右:黒崎彰〈赤い闇6 〉1970年 上:伊原宇三郎〈二人〉1930年
下:黒崎彰〈赤い闇6 〉1970年
展示キミの晴れ舞台を作る
展覧会はまさに作品たちの「晴れ舞台」です。展覧会を開催することによって、多くの人々に調査研究の結果や作品の魅力を紹介することができます。そのために学芸員は、通常数年以上前から準備を行います。この章では、展覧会ができあがるまでの過程や、作品に合わせた展示の工夫やその裏側をご紹介します。
出品作家:アルベルト・ジャコメッティ、アントニー・ゴームリー、横山大観、中村大三郎ほか



中:アルベルト・ジャコメッティ〈女性立像〉1952年
右:中村大三郎〈二人舞妓〉1926年 (展示期間:4月26日~7月6日) 上:中村大三郎〈二人舞妓〉1926年 (展示期間:4月26日~7月6日)
中:横山大観〈樹下苦行〉明治後期 (展示期間:7月8日~8月31日)
下:アルベルト・ジャコメッティ〈女性立像〉1952年
教育普及みつけてほしい!キミの魅力
教育普及は、作品と美術館利用者をつなぐ最前線の仕事です。その充実のためには、作品理解とともに、教育の手法や利用者についての研究が必要です。この章では、当館の教育普及活動を関連作品ともに振り返ります。
出品作家:アンリ・マティス、荻原守衛、河井清一、安井曾太郎ほか



中:荻原守衛〈労働者〉1909年
右:河井清一〈休み日〉1928年 上:アンリ・マティス〈版画集〈ジャズ〉2.サーカス〉1947年 (展示期間:4月26日~6月29日)
中:荻原守衛〈労働者〉1909年
下:河井清一〈休み日〉1928年
ここにしかいない「キミ」に会えます!
当館が所蔵する「人間像コレクション」は、日本ではほとんど類例のない個性的コレクションとして注目を集めています。本展では、選りすぐりの作品約140点を、すべての展示室を使用して一堂に展示します。きっとあなたが夢中になる「キミ」にも出会えるはずです。
「人間像コレクション」と学芸員の関係
当館の学芸員が仕事のなかで発見したことやエピソードなどを作品の横に掲示します。くすっと笑える話から、真面目な仕事の話まで。そこには「キミ」と学芸員のヒューマンドラマがあります。
「キミ」へのラブレターを読んでほしい!
「人間像コレクション」を愛しい「キミ」と見立てて書いたラブレターを展示室内で読むことができます。書き手は、当館に関わる人々や、来場者のみなさんです。
ラブレターが書けるコーナーもあります。ぜひご参加ください。
催しに手話通訳や要約筆記をご希望の方は、2週間前までにご相談ください。
おやこ鑑賞ツアー
親子でゆったり鑑賞を楽しみましょう。学芸員と一緒にみんなでおしゃべりしながら作品を見ます。初めて美術館に行くというご家族にも、ぴったりなプログラムになっています!
とき | 4月29日(火・祝)、7月21日(月・祝) 各回11:00~11:30 |
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ところ | 展示室 1 (4月29日)、展示室 3 (7月21日) |
講師 | 近代美術館学芸員 |
参加対象 | 幼児・小学生と保護者 |
参加費用 | 無料 |
申込方法 | 申込不要 |
その他 | 集合場所:近代美術館ロビー(2階) |
展示解説
仕事のなかで発見したことやエピソードなどと共に「人間像コレクション」=「キミ」の魅力をご紹介します。きっとあなたが夢中になる「キミ」にも出会えるはずです。
とき | 5月6日(火・振休)、6月22日(日)、8月3日(日) 各回14:00~15:00 |
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ところ | 展示室 1・2・3 |
講師 | 久米千裕(主任学芸員) |
参加対象 | どなたでも |
参加費用 | 要観覧券(5月6日は無料観覧日) |
申込方法 | 申込不要 |
ベビーカーおさんぽツアー
赤ちゃんや小さなお子さま向けのツアーです。泣いても、笑っても大丈夫です。作品を見て、好きな色や好きなものについておしゃべりしましょう。美術館デビューにもぴったりなプログラムになっています!
とき | 5月18日(日) 11:00~11:30 |
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ところ | 展示室 3 |
講師 | 近代美術館学芸員 |
参加対象 | 乳幼児と保護者 |
参加費用 | 保護者は要観覧券 |
申込方法 | 申込不要 |
その他 | 集合場所:近代美術館ロビー(2階) |
あの手この手で触図づくり
触図作りを体験するワークショップです。作った触図は展示室内に置かれ、他の人が使えるようになります。美術館とサポーターとの協働企画です。
とき | 5月25日(日) 14:00~16:00 |
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ところ | アトリエ 2 (3階) |
講師 | 近代美術館学芸員+アートイベントサポーター |
参加対象 | 中学生以上 |
参加費用 | 無料 |
定員 | 10人程度 |
申込方法 | 電話で申込み。先着順で受け付けます。 徳島県立近代美術館 088-668-1088 |
作品の展示体験ワークショップ
作品の展示を体験するワークショップです。前半では、作品を展示する時の考え方や空間の作り方、照明の当て方などについてスライドでお話しします。後半では、実際に作品のレプリカを使って展示を体験します。
とき | 6月1日(日) 14:00~16:00 |
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ところ | 近代美術館ギャラリー(1階) |
講師 | 安達一樹(主席) |
参加対象 | 小学校高学年以上 |
参加費用 | 無料 |
定員 | 15人程度 |
申込方法 | 電話で申込み。先着順で受け付けます。 徳島県立近代美術館 088-668-1088 |
手話通訳付き展示解説
手話通訳つきの展示解説です。仕事のなかで発見したことやエピソードなどと共に「人間像コレクション」=「キミ」の魅力をご紹介します。きっとあなたが夢中になる「キミ」にも出会えるはずです。
とき | 6月22日(日) 10:00~11:30 |
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ところ | 展示室 1・2・3 |
講師 | 久米千裕(主任学芸員) |
参加対象 | どなたでも |
参加費用 | 要観覧券 |
申込方法 | 申込不要 |
こども鑑賞クラブラボ
小学生向けイベントについて、美術館スタッフと学生のみなさんが一緒に試したり、考えたりするラボです。考えた内容が、7/26のイベントにつながります。アートが好き、小さな子どもと遊ぶのが好き、という中学生~大学生のみなさん大歓迎です!
とき | 6月28日(土) 10:30~12:00 |
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ところ | 展示室3(2階)、アトリエ2(3階) |
講師 | 近代美術館学芸員 |
参加対象 | 中学生~大学生 |
参加費用 | 無料 |
定員 | 10人程度 |
申込方法 | 電話で申込み。先着順で受け付けます。 徳島県立近代美術館 088-668-1088 |
その他 | 集合場所:近代美術館ロビー(2階) |
こども鑑賞クラブ+
子どもなりの目で展覧会を楽しむ催し。スタッフと一緒に鑑賞しましょう。クイズをしたり探偵手帳にメモしたりする、やさしい内容です。
とき | 7月26日(土) 14:00~14:45 |
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ところ | 展示室1・2・3 |
講師 | 近代美術館スタッフ |
参加対象 | 小学生(保護者同伴可) |
参加費用 | 無料(保護者は要観覧券) |
定員 | 30人程度 |
申込方法 | 電話で申込み。先着順で受け付けます。 徳島県立近代美術館 088-668-1088 |
保存のお仕事体験ワークショップ
作品を良い環境で保存していくことは、美術館の大きな役割の一つです。前半では、展示室を探検して作品保存のための工夫をご紹介します。後半では、昆虫調査用トラップに捕まった虫の推定(名前調べ)を体験します。
とき | 8月10日(日) 14:00~16:00 |
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ところ | 展示室1・2・3(2階)、アトリエ2(3階) |
講師 | 飯田恵実(学芸員) |
参加対象 | 小学生以上 |
参加費用 | 要観覧券(小・中・高生は無料) |
定員 | 10人程度 |
申込方法 | 電話で申込み。先着順で受け付けます。 徳島県立近代美術館 088-668-1088 |
その他 | 集合場所:近代美術館アトリエ2(3階) |
あの手この手で交流トーク
聞こえない人、見えない人がナビゲーターをつとめます。筆談で思いをつないだり、見えない人との対話から見方を深めたり、いつもと違った交流の形を通してアートを楽しみませんか。美術館とサポーターとの協働企画です。
とき | 8月17日 (日) 14:00-16:30 |
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ところ | 展示室3 |
講師 | ナビゲーター:聞こえない鑑賞人、見えない鑑賞人(イベントサポーター) |
参加対象 | どなたでも |
参加費用 | 要観覧券 |
定員 | 20人程度 |
申込方法 | 電話で申込み。先着順で受け付けます。 徳島県立近代美術館 088-668-1088 |
展覧会名 | 開館35周年記念展 キミに夢中♡~学芸員のおしごとと愛しき人間像コレクション~ |
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会期 | 2025年4月26日[土]~8月31日[日] |
開館時間 | 9 時 30 分~17 時 |
休館日 | 月曜日(5月5日、7月21日、8月11日を除く)、5月7日[水]、7月22日[火] |
観覧料 | 一般 200円[160円]/高・大生100円[80円]/小・中生50円[40円]
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主催 | 徳島県立近代美術館 |
JR徳島駅からバス利用
- 徳島市営バス3番のりば「文化の森」行き直通バスに乗車し18分、終点「文化の森」で下車
- 徳島市営バス3番のりば「市原【国道55号バイパス(ふれあい健康館・富田橋通り)経由】」行きに乗車し25分、「文化の森」で下車
- 徳島市営バス2番のりば「法花【文化の森経由】」行きに乗車し16分、「文化の森」で下車
- 徳島市営バス3番のりば「しらさぎ台」行き、「一宮」行き、または「天の原(入田)」行きに乗車し16分、「園瀬橋」で下車。徒歩約10分
- 徳島バス4番のりば「仁井田西」行き、または「佐那河内線 神山高校前」行きに乗車し16分、「園瀬橋」下車。徒歩約10分
JR文化の森駅からバス利用
- バス停「文化の森駅東」から「市原【国道55号バイパス(ふれあい健康館・富田橋通り)経由】」行きに乗車し7分、「文化の森」で下車