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「芸術家と本」の詳細情報
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テーマ名称 芸術家と本
展覧会名称 本と美術−20世紀の挿絵本からアーティスツ・ブックスまで 展
説明 十九世紀末から二十世紀前半にかけて、多くの画家たちが数多くの挿絵本を発表しました。リトグラフを初めとする版画技術が、十九世紀以降めざましく発達し、版画は表現手段として注目を浴びるようになります。カーンワイラーやボラールなどの有能な画商や出版者たちが、版画を用いた挿絵本、豪華本を盛んに出版すると同時に、ピカソやマティス、シャガールなども本作りに積極的に関わって行きました。  版画が印刷技術から表現技法へと移り変わって行くのに伴って、そのような版画が挿絵として使われている本自体も、大衆的な複製物にとどまらない価値を獲得していきます。マネの〈大鴉〉やボナールの〈双心詩集〉などは、用紙や印刷、装丁などに手の込んだ仕事が行われています。これは、本を所有者が自分好みの装丁に仕立てるという、ヨーロッパ伝統の装丁の文化に通じるものといえるでしょう。  しかし、ピカソの〈聖マトレル〉や、〈エルサレムの攻略〉の体裁は、後の装丁を予測して一般的に簡素に製本される装丁文化の伝統を差し引いても、豪華さとは遠いところにあります。この時期の挿絵本の見所は、外面の豪華さや版画が添付してあるといった希少価値だけではなく、大衆的なものと思われていた印刷物が表現手段として利用され、これまでにない価値観を生み出して行った点にあるといえるでしょう。
コピーライト 徳島県立近代美術館 2006
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