| 説明 |
今回は主に風景を描いた作品を紹介します。
三宅克己は日本国内のみならず、まだ日本人の海外への旅行が珍しかった時代に、幾度も欧米に出かけて各地の風景を水彩で描きました。〈ハンプステッド・ヒース(ロンドン)〉もそのような作品の一つです。また、信州は三宅が最初の渡航から帰国後、居を構えた場所です。〈信州田口風景〉はその約40年後に描かれた作品ですが、帰国当時の気持ちに戻って、自然を見つめ直そうとしたのでしょうか。
日下八光は、古墳壁画の模写・復元で活躍しましたが、現場に赴いて制作した風景画も数多く残しています。〈戦場ヶ原〉とは日光市中禅寺湖の北に広がる標高1400メートルの乾燥湿原地帯です。今回紹介します他の2点もそうなのですが、この時期の枯れた風景に日下は感じ入るものがあったのかも知れません。
市原義之の〈冬日〉では灰黒色の画面中に溶け込むように鳥たちの姿が描かれています。しかし、色彩が乏しいから寒々しいのではなく、色がない分、逆に穏やかな冬の日差しを喚起するかのようです。
鳴門の渦潮、阿波踊り、人形浄瑠璃といった徳島の風景・風物は現代作家たちの想像力もかき立てたようです。今回は、これらの題材を扱った靉嘔、池田満寿夫、横尾忠則らの作品をご紹介します。 |