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| 「初期 試行錯誤の時代 1970年代〜80年代はじめ」の詳細情報 | |
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| テーマ名称 | 初期 試行錯誤の時代 1970年代〜80年代はじめ |
| 期間 | 2024年7月13日(土)~2024年9月23日(月) |
| 展覧会名称 |
大久保英治:辺境の作家1973-2024 |
| 説明 | さて、ここからは初期の作品から現在までを、時代順にたどっていきます。まず最初は日本体育大学を卒業し、養護学校で教えながら、やがて独学で美術家になっていった初期の作品です。具象からまもなく抽象にうつり、さらに「点とは、線とは、面とは」という根源的な問題を追求して、ドローイングや版画を大量に描きながら試行錯誤を続けました。 小さな四角をペンで延々と書き連ねるドローイング、フリーハンドの線を大量に描き続ける銅版画、彫刻刀のストロークを繰り返して刻み、それらが集積した版を多色で刷り重ねる木版画、絵の具の層をつくり、それを研ぎ出して下の層を見せていくアクリル絵具の絵画作品、封筒を開いて全面を線で塗りつぶしたり、パステルを手でこすりつけるなどして描いたドローイング。これらには、いずれもシンプルな表現手法のみを用いて、そこに時間や行為が残る、という考え方が込められています。この時期に、公募展やコンクールにも何度か挑戦していますが、その多くは未発表でした。 このような作品を美術史に照らしてみると、表現のための要素を最小限に切り詰めていくミニマル・アートに該当します。当時このような制作を行っている作家は、ほかにも多く存在していました。しかし独学の大久保は、そのことをはじめは知りませんでした。やがて、それを知った後は、自分らしさをより意識するようになります。そして、独自の転写手法による「トランスクリプション」シリーズは評価されることとなり、イギリスのヴィクトリア&アルバート美術館や国立国際美術館に収蔵されました。 |