| 説明 |
第二次世界大戦が終わって50年以上の時が過ぎ、「戦後」は歴史の一つの時代として回顧されようとしています。戦後美術をになった作家たちも、時代の終わりに従うようにして亡くなっています。泉もその一人でした。
泉茂(1922-1985)は、大阪で生まれました。大阪市立工芸学校(現大阪市立工芸高校)で学び、戦後中は軍隊生活を経験。復員後、はなばなしい活躍をはじめます。1951年、瑛九らとデモクラート美術協会を結成。1957年、第1回東京国際版画ビエンナーレ展での新人奨励賞受賞。1959年から9年間、ニューヨークやパリを拠点にした国際的な活動。帰国後も作風を次々と展開させながら、晩年まで精力的に絵画や版画の制作を続けました。
ここで紹介するのは、初期の版画作品です。まだ、道具や材料が手に入りにくかった終戦から数年後の時期に、銅版画や石版画を試み、幻想的な作風の作品を
発表していきました。
評論家の久保貞次郎は、「新しい精神を表現し、伝達するのに充分な力をそなえている。」「これは、まったく新しい時代を代表する日本の画家の作品である。」と評しました。
徳島県立近代美術館は、この期の版画作品を100点近く所蔵していますが、そのなかから52点を2回に分けて展示します。 |