概要 |
横尾忠則の全ての作品イメージは、ひとつの作品で完結せず反復から連鎖へ、そして転移していく。従って全ての作品は自ずと歴史的連続性を表象することとなる。本展覧会の構成趣旨は、横尾忠則によって一貫して描かれてきた「日本」の戦前や戦後、そして現代という時間の連続性を作家が生きてきた「昭和」という時代と重ね合わせて捉え直していくものである。また、時としては時間軸を横断し、グラフィック・ワークや絵画といった表現メディアをも超えた展覧会構成となる。なぜなら横尾の作品制作における姿勢は、表現ジャンルを問わず一貫しているからである。つまり、デザイナーだった頃から、すでに絵画制作を始めており、また、クライアント不在の自主制作によるポスターなど数え上げたらキリがないほどのアートワークを制作していたのである。
本展覧会では、グローバル化した現代から「昭和」という時代を逆照射していくアプローチによって当時の時代精神をも浮かび上がらせ、そしてわれわれのグローバル化している現代社会が今後何処へ向かおうとしているのかを問いかけてくるものである。
<中略>
縄文という古代の時間が流れている青森の深い森のイメージと土着性、そして昭和という時代が背負った戦争と戦後の高度経済成長の光と影とを重ね合わせて、横尾忠則の「日本」が次の世代に何を投げかけているのかを本展覧会では問いかけていきたい。 |