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「第1章−「風土」の美を訪ねて」の詳細情報
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テーマ名称 第1章−「風土」の美を訪ねて
期間 2022年10月8日(土)~2022年11月27日(日)
展覧会名称 風土と美術 ― 青森/徳島
説明 私たちの暮らしの基本を成す衣食住は、気候や地形など所与の自然条件によって規定されている。そうした環境の下で、人々は大地の恵みに感謝し、あるいは畏怖の念を抱きながら、美術を始めとする精神文化を育んできた。この章では、青森・徳島の生活風俗や景勝地、および郷土芸能や種々の祈りの造形などを紹介する。  1-1 景勝地、生活風俗、郷土芸能  徳島は、藍作で巨万の富を築いた商人の経済力を背景に発展し、阿波踊りや阿波人形浄瑠璃などの芸術文化が花開いた。日本の戦後美術史を代表する洋画家のひとり・山下菊二とその実兄である谷口董美は、こうした地元の風物に取材した作品を制作している。また、靉嘔や黒崎彰、横尾忠則もそれぞれの特性を存分に発揮した清新な版画を手がけた。京都画壇の日本画の巨匠・池田遙邨は全国を訪ね歩き、その先々で目にした風物を生き生きと描いた。〈鳴門〉は徳島・鳴門の渦潮をとらえた大作である。轟々と渦巻く渦潮の表現は、実物を前にした画家の昂奮と臨場感を伝える。池田は岡山県の出身ながら、異郷の旅を通じて当地の風土に迫った画家と言える。この他、人形浄瑠璃を演じる舞台に設えられた襖からくりの実物や、青森県内の生活風俗を克明に記録した小島一郎の写真、今純三の代表作〈青森県画譜〉などを紹介する。  1-2 生と死−祈りの造形  郷土芸能は、娯楽としてだけでなく、五穀豊穣や死者の鎮魂など、何らかの祈りを託された行事としての側面も有する。本節では、地蔵信仰とキリスト教が息づく青森の祈りの造形に着目する。青森県八戸市では、毎年八月の盆の時期に、海で命を落とした新仏のために彼らの墓前で神楽を舞う行事が執り行われる。死者の魂が訪れると墓の周りの土が湿るといい、三百年もの長きに亘り続いてきた。豊島弘尚の〈墓獅子舞(B)〉は、モニュメンタルな造形に昇華された獅子と、手前の朱机に供えられた椿の花が目を引く。一方、阿部合成の〈マリヤ〉は、死児を抱く女性の背後の暗がりに十字架が浮かび、聖性を暗示している。シベリア抑留とメキシコ滞在を経て、人間の生と死を主題に描き続けた画家のキリスト教にまつわる晩年の傑作である。この他、棟方志功や奈良美智の作品などを紹介する。
コピーライト 徳島県立近代美術館 2006
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