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「第2章−「風土」の再発見−戦後美術の前衛表現」の詳細情報
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テーマ名称 第2章−「風土」の再発見−戦後美術の前衛表現
期間 2022年10月8日(土)~2022年11月27日(日)
展覧会名称 風土と美術 ― 青森/徳島
説明 ある土地において、特定の個人・集団によって生活様式が整えられると、そこから何らかの習俗や儀礼が発生する。そしてそれが累代に亘って受け継がれ、伝統となっていく。戦中には、この伝統を拠り所にした郷土意識が国家意識と接続され、戦争を遂行するために国民を統合する手段に利用された。やがて、こうした戦中のナショナリズムを踏まえ、戦後の混沌とした現実を更新するものとして風土が再発見されていく。この章では、風土を切り口として新たな表現を切り拓いた戦後の作家たちを紹介する。  2-1「幻想」をめぐる断章  山下菊二は、シュルレアリスムの手法で戦争や差別を告発する作品を描いた。1960年代には、論語や経文、さらに能の翁面や鳥の頭蓋骨など様々なモチーフを配した〈双立道路〉に見るように、故郷の伝承や風習など、極めて個人的な記憶にまつわる作品を数多く制作している。それらの作品には、美術の様式や理論には収まり切らない日本土着の土俗性が強く滲む。一方、鷹山宇一や工藤甲人の作品には、そうした土俗性とは異なる夢想的なロマンティシズムが漂う。この他、「ウルトラマン」シリーズで協働した成田亨と高山良策、ルポルタージュ絵画を牽引した中村宏、さらに寺山修司の舞台芸術関連の作品資料など、「幻想」をめぐる多様な表現を紹介する。  2-2「縄文」をめぐって  岡本太郎は、縄文土器の造形に身の内に滾るような生命力を発見し、これを称賛した。本節では、そうした「縄文」に発する奔放な力強さと深い精神性の見られる作品を紹介する。小野忠弘は考古学や民俗学に精通し、様々な石、貝殻などの漂流物や土器片などを画面に貼り込んだジャンクアートの旗手として注目された。村上善男は緻密な計算と抑制の効いた理知的な作風から出発し、古文書の上に配した無数の点を結び付けた「釘打ち」シリーズなど東北の風土を解析、体現した作品を手がけた。パリを拠点に、猥雑且つグロテスクな表現で西洋の人間中心主義を攻撃した工藤哲巳は晩年、「遺伝染色体」をテーマに故郷・青森の風物にまつわる作品を発表した。この他、斎藤義重、利根山光人のドン・キホーテに取材した作品などを紹介する。
コピーライト 徳島県立近代美術館 2006
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