徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
学芸員の作品解説
ある種の関係
1966年
ドライポイント、ルーレット、エングレーヴィング 紙
45.5×41.0
1966年
ドライポイント、ルーレット、エングレーヴィング 紙
45.5×41.0
池田満寿夫 (1934-97)
生地:中国奉天(現中国遼寧省瀋陽)
生地:中国奉天(現中国遼寧省瀋陽)
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池田満寿夫ある種の関係
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徳島新聞連載1990-91
池田満寿夫 「ある種の関係」
竹内利夫
1955年に靉嘔、真鍋博らとグループ「実在者」を結成し、またこの年瑛九にすすめられて銅版画の制作を開始した。1960年第2回東京国際版画ビエンナーレ展で文部大臣賞を受賞、26歳の無名の新人であった彼は一躍注目を浴びる。彼は60年代に次々と登場した若手版画家の先駆けとなった。1977年には『エーゲ海に捧ぐ』で芥川賞、79年同名の映画を製作。版画、陶芸、文筆などの幅広い活動を行った。この作品は1966年のヴェネツィア・ビエンナーレ展で版画大賞を獲得した際の出品作の一つである。エッチングなど様々な技法を試してきた池田だったが、1960年の時点でドライポイント、それも細い針ではなく版面修正用のスクレイパーによって力強い線で描く方法を見いだす。
描かれるテーマは現代的な女性像、またファッショナブルなあるいはエロティックな女性像である。この作品ではさらに互いの人体が通過するユーモラスで少し目騙し的な面白さも加わっている。軽妙な味わいが身上ではあるものの、描きにくい道具の硬い線を逆手にとって生み出された形は力強く動感に満ちている。
特別展「コレクションでみる 20世紀の版画」図録 第1部 戦後の展開 3. 日本の活況 (2)刷新者たち
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫