徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
学芸員の作品解説
Pencil 2-3
1974年
シルクスクリーン 紙
75.5×107.0
1974年
シルクスクリーン 紙
75.5×107.0
木村秀樹 (1948-)
生地:京都府
生地:京都府
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木村秀樹Pencil 2-3
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徳島新聞連載1990-91
木村秀樹 「Pencil 2-3」
竹内利夫
1947年京都市立芸術大学西洋画科専攻科を修了、同年第9回東京国際版画ビエンナーレ展で京都国立近代美術館賞を受賞する。世界各地の国際版画展で受賞を重ねる。写真製版によるシルクスクリーン技法を使って、断片的な映像が浮遊するといった平面作品で知られ、作者自身が「逆コラージュ」と呼ぶ観念的な表現を特徴としている。この作品は〈Pencil〉シリーズの1点。鉛筆を持った作者の手の写真が二つ、意味ありげな格好で組み合わされている。手の表現は違うが、鉛筆の部分はぴったり重なっていて、同時に1本の鉛筆を持っているようにも見える。このようにどちらとも取れる両義性、あいまいさを木村はテーマにしている。また写真は実物大で市販の方眼紙に印刷されており、これが実物大の幻影であることを、あえて確認させる。
しかし画面はあまりに寡黙である。既製の方眼紙が白々と大半を占めている。そのくせこの鉛筆をつまんでいるだけのポーズは、何か書く気があるのかないのか、そういう関心を誘わずにおかない。彼が制作を始めた時期は、版画概念の拡散が問題視されており、彼にとっても描くことに対する自問は出発点だったに違いない。東京国際版画ビエンナーレ展で彼と大賞を争った作品はテレビの画像による版画だった。
木村はいつまでもこの鉛筆シリーズにとどまったわけではなく、色々な方法で映像の見え方を探究している。しかしこの作品はやはり、版を使って描くのか、それとも別の表現を探すのか、決断を迫られた若き日の木村の置かれた状況を象徴的に示しているといえないだろうか。
特別展「コレクションでみる 20世紀の版画」図録 第1部 戦後の展開 3. 日本の活況 (3)その後の展開
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫