徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
学芸員の作品解説
赤い闇6
1970年
木版 和紙
80.0×55.0
1970年
木版 和紙
80.0×55.0
黒崎彰 (1937-2019)
生地:旧満州国旅大(現中国遼寧省大連)
生地:旧満州国旅大(現中国遼寧省大連)
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黒崎彰赤い闇6
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この執筆者の文章
黒崎彰 「赤い闇6」
竹内利夫
中学時代から新制作洋画研究所に通う。1962年京都工芸繊維大学意匠工芸学科を卒業。1965年最初の木版画を手掛け、モノクロームの作風を経て、鮮烈な色彩と有機的なフォルムが知的に構成される作風を生み出した。海外の大学の客員教授や国際展の審査員を歴任する。近年は紙の造形でも知られる。最初に彼をとらえたのはムンクの版画であり、また多色刷りの浮世絵版画だった。情念の世界を象徴的に描こうとしながら油絵と取り組んでいた彼は、木版画に転じ自分の道を見いだした。木版工房の刷り師の元へ通い、自らの表現に必要な技術を吸収していったという。
この〈赤い闇〉のシリーズで彼は1970年のクラコウ国際版画ビエンナーレ展、またこれに続く〈闇のコンポジション〉シリーズで同年の東京国際版画ビエンナーレ展でそれぞれ受賞する。この時期の彼の作風は、鮮烈な赤と闇の黒を強く対比させ、また伝統的な木版技法をフルに活用して精緻な幾何学的構成を築くものであった。エロティックなモチーフが画面狭しとひしめき、心の深層をあばき出すようなインパクトを持っている。それはまさに、錦絵のエネルギーを現代に開花させたものといえるかも知れない。
特別展「コレクションでみる 20世紀の版画」図録 第1部 戦後の展開 3.
日本の活況 (2)刷新者たち
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫