徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
学芸員の作品解説
腰をかける人
1979-80年
ブロンズ
193.0×94.0×142.0:左(女)、180.0×84.0×122.0:右(男)
1979-80年
ブロンズ
193.0×94.0×142.0:左(女)、180.0×84.0×122.0:右(男)
リン・チャドウィック (1914-)
生地:イギリス
生地:イギリス
データベースから
チャドウィック腰をかける人
他の文章を読む
作家の目次
日本画など分野の目次
刊行物の目次
この執筆者の文章
他のよみもの
所蔵作品選1995
リン・チャドウィック 「腰をかける人」
安達一樹
金属は、その耐久性と加工の可能性の広さから、立体造形には幅広く用いられています。素材としては、金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ステンレススチールなどがありますが、中でも昔から最もよく用いられてきたのは、銅です。銅は人間とのかかわりも非常に古く、紀元前八千年ごろ、新石器時代に発見されたそうです。前六千年ごろには鋳造の技術が発見され、前三千八百年ごろには銅の合金の一つである青銅が出現しています。その後、青銅器時代という一時代を形成することはよく知られています。
銅の合金と青銅という言葉が出ましたが、銅は銅合金を含めると、素材として非常に豊かな色彩を持っています。銅そのものが赤銅というように赤っぽい色をしていますし、色名に由来する合金としては、黄色の黄銅(銅-亜鉛合金)、赤味がかった黄銅である丹銅(銅-亜鉛合金)、赤から黄、白にわたる青銅(銅-錫合金、これは色としては青ではありませんが、サビである緑青の色からつけられたのでしょう)、ピンクがかった白色をしている白銅(銅-ニッケル合金)、銀色をていする洋白(または洋銀、銅-ニッケル-亜鉛合金)などがあります。この中で黄銅は真ちゅうともよばれています。これらの素材は着色仕上げをすることによってさらにその変化を増します。同じ青銅製品でも茶色や青があったりするわけです。また金属には、サビ(腐食)という問題が常についてまわります。しかし、ここでも銅は特色を発揮します。もともと銅は自然銅という形で存在していることからも分かるように、そのままでも比較的安定しています。そして酸素と触れることによってできる酸化被膜もある程度以上の厚さになると、保護膜の役割をするようになります。さらに、緑青というサビが生じますが、これもこの腐食生成物の被膜でおおわれることにより腐食の進行がくいとめられます。このように銅は優れた防食性を持っています。
美術館で展示されている作品の中には、その材料、技法の表示のところに「ブロンズ」とあるものがあります。このブロンズは狭い意味では青銅のことですが、広くは銅合金のことを代表して使っています。このブロンズ製の作品は、美術館にも数多くあり、ロビーのムーアやマイヨールの作品、屋外展示場にはボテロ、シーガル、チャドウィック、柳原義達、淀井敏夫などのものがあります。
徳島新聞 県立近代美術館 13
1991年1月3日
徳島県立近代美術館 安達一樹
1991年1月3日
徳島県立近代美術館 安達一樹