徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
ものを言わぬ人
1985年
アクアチント、コラージュ 紙
156.9×87.5
ミンモ・パラディーノ (1948-)
生地:イタリア
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パラディーノものを言わぬ人
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徳島新聞 美術へのいざない

ミンモ・パラディーノ 「ものを言わぬ人」

竹内利夫

 1964年クレス・オルデンバーグやジム・ダインの作品に強い感銘をうけベネヴェントの美術学校に入学、68年まで学ぶ。1975年ごろから作品の発表をはじめ、幾り返し個展を開くほか、各地の現代展に出品する。サンドロ・キアと同じく、イタリアにおこった「トランス・アヴァンギャルディア(超前衛)」の主要作家として注目される。1970年代前半は主として神話的主題を取り上げた作品を制作したが、近年は強い歴史感覚に基づき様々なシンボルを平面的に配列することで、一種宗教的な雰囲気をもつ独自の絵画世界を創り出す。
 大胆な筆致を損なわないために、この作品にはアクアチントが使われ、ざらついて大振りな風合いを出している。対比的に、逆立つ耳のような部分には毛がコラージュされており、唐突な違和感をもたらしている。
特別展「コレクションでみる 20世紀の版画」図録 第1部 戦後の展開 4. 版画の拡がり
1997年4月12日
徳島県立近代美術館 竹内利夫