サロン・コンサート「ピカソの版画展によせて」 2、キュビスムと循環音楽との出会い〜フランク ソナタ イ長調

2006年12月10日[日]
 「ピカソの版画」展会場でコンサートを行います。演奏者は、バソン奏者の井村雅音さんとピアニストの粟田美佐さん。曲は、19世紀フランス・ロマン主義作曲家のフランク(1822-90年)の「ソナタイ長調」。

フランクが生きた時代、美術の世界では、印象派の登場など大きな革新が始まります。そして、音楽の世界でも前衛的な動きが起こり始めていました。時代が大きく変わり始めた時代に生きたフランクは、循環形式という手法を用いて作曲します。循環形式とは「交響曲やソナタなど、多楽章形式の作品において、ある楽章で用いた主題や動機を他の楽章にも登場させることによって、作品全体の統一性を強化したり、特別な表現上の効果を生み出したりする手法」です。*循環形式では同じメロディーを様々な角度から多面的に捉えます。これは様々な視点を同一平面に同居させたキュビスムの手法と共通するものがあるのではないだろうか?そして時代の変わり目の「葛藤」をはらんだ表現者として、フランクとピカソを結びつけることも、興味深いことではないでしょうか。

この曲はフランクの友人の結婚記念日のプレゼントとして作られたもので、彼の出世作となった晩年の作品です。バイオリンをはじめとして、様々な楽器で演奏されているこの曲ですが、バソンでは世界初演となります。ピカソの作品と共にお楽しみ下さい。乞うご期待!

*久保田慶一ほか著 『はじめての音楽史』
音楽之友社 1996年

〈サロン・コンサート出演者紹介〉
◆井村雅音(いむらもとね)
バソン奏者。京都市立藝術大学音楽部管打楽器専修卒業。ファゴットを光永武夫、バソンを小山清各氏に師事。各地で演奏活動を行いながら、作曲や編曲も手がける。

◆粟田美佐(あわたみさ)
ピアニスト。国立音楽大学卒業。‘95渡独。シュトゥットガルト音楽大学大学院ピアノ専攻終了後、同大学院専攻科を経て、トロッシンゲン音楽大学大学院室内楽専攻入学。‘02年終了後帰国。翌年帰国後初リサイタルを開催。平成15年度(財)徳島県文化協会主催第10回芸術文化奨励賞を受賞。
これまで松前フサ子、足立範子、藤澤克江、S・ルディアコフの各氏に師事。室内楽をA・スピリ、W・ヴァーゲンホイザーの各氏に、歌曲解釈法をW・キューブラー氏に師事。

【開催時間】午後2時から約半時間
【開催場所】徳島県立近代美術館 展示室3
【講師】井村雅音(バソン)、粟田美佐(ピアノ)
【主催者】徳島県立近代美術館、徳島県立21世紀館
【参加対象】どなたでも
【参加費用】観覧券が必要(一般600円)
【申込方法】直接、展示会場へ(申込不要)
【申込先】徳島県立近代美術館(申込不要)
088-668-1088
【関連サイト】サロン・コンサートのチラシはこちらからご覧いただけます
https://art.bunmori.tokushima.jp/pr/hodo/picasso-moyoshi.html
徳島県立近代美術館
https://art.bunmori.tokushima.jp/