美術館TOP よみもの 音楽 「色、線、形、そして音」

特別展
コレクション+αで楽しむシリーズ
音楽 「色、線、形、そして音」展
2005年9月17日[土]−11月6日[日]
 

ヴァシリー・カンディンスキー 雑誌『青騎士』はじめに
コレクション+αで楽しむシリーズは、徳島県立近代美術館の所蔵作品を中心にして、そこにひと工夫加え、幅広い視点で美術を楽しもうという展覧会です。今回のテーマは音楽。この展覧会では、音楽家と関わりの深かった美術家の作品や、音楽や音をモチーフや造形要素として取り入れた作品、音楽のある情景などを集めました。クレーやカンディンスキー、マティスなどの近代から現代の所蔵作品に、他館から借用した作品を加えて音楽と美術との関わりをご紹介します。

【図版】 ヴァシリー・カンディンスキー 雑誌『青騎士』 1914年刊 徳島県立近代美術館蔵
 

1 美術と音楽の競演 バレエを巡って〈ロシア・バレエ団公演のパンフレット(1918年スペイン公演)〉
20世紀の初頭、ロシアから、天才プロデューサー、セルジュ・ディアギレフ(1872-1929年)が、ロシア・バレエ団(バレエ・リュス)を引き連れてパリに登場(1909年)します。また、これ以外にもスウェーデン・バレエ団などの前衛的なバレエ団が現れました。そこでは、舞踏・音楽・美術などのさまざまな表現領域の最先端が集結し融合する、総合芸術としてのバレエが展開されていきます。伝説のダンサー、ニジンスキーが跳躍し、ジャン・コクトー、ピカソ、ルオー、ローランサンなどが舞台美術を担当、そしてエリック・サティやストラヴィンスキー、ラヴェルなどが新曲を発表する、といった具合です。この新たな魅力を発散するバレエの現場に、多くの若き音楽家や画家たちが引き寄せられ、音楽と美術が密接に交差した、刺激的で前衛的な表現が誕生していきました。

【図版】 ロシア・バレエ団公演のパンフレット(1918年スペイン公演) 個人蔵
「牧神の午後」(ロシア・バレエ団 初演1912年 音楽:クロード・ドビュッシー 美術:レオン・バクスト 振付:ワツラフ・ニジンスキー)のニジンスキーをレオン・バクストが描いた絵が掲載されている。
 

ヴァシリー・カンディンスキー 版画集〈響き〉16.赤と青と黒の中の三人の騎手2 音楽とともに
美術と音楽がどのような関係にあるのか、といったことに関心を持った画家は少なくありません。ここでは特に、クレーとカンディンスキーを取り上げます。彼らは、音楽と美術との照応関係に思いをめぐらせ、さまざまな探求や試みを行いました。また、現代音楽をリードしたジョン・ケージは、音楽と美術や舞踏などの間を行き来しながら、音楽のみならず、時代を切りひらく新しい表現をめざす人々に大きな影響を与えていきました。

【図版】 ヴァシリー・カンディンスキー 版画集〈響き〉16.赤と青と黒の中の三人の騎手 1911年 徳島県立近代美術館蔵

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