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伊原宇三郎 ハープを弾く婦人3 音楽のある場面
ここでは、楽器や音楽のある情景を描いた作品を紹介します。古くから、楽器や演奏の情景は数多く描かれてきました。そして楽器が表す意味は、国や文化、時代によって様々です。ヨーロッパの伝統では、たとえば「ハープ」は、男の人が弾く場合、イスラエルの王、預言者ダヴィデを表し、また時には死の願望を意味することもあります。また「ヴァイオリン」は、その高い音から、情熱や嫉妬、絶望などを表したり、胴の部分を女性、弓の部分を男性に見立てて、両性具有の象徴とされることもあります。
板東敏雄 ヴァイオリンを持つ婦人像(仮称)今回出品されている伊原宇三郎の〈ハープを弾く婦人〉や板東敏雄の〈ヴァイオリンを持つ婦人像〉が、このような意味を象徴しているとは限りませんが、そのような意味づけを考えながら鑑賞するのも一つの方法です。
また、そのほかにも、オーケストラを舞台の袖から眺めた視点で描いたデュフィの〈音楽会〉や、マネの〈笛吹く少年〉を引用した、森村泰昌の〈肖像(少年)〉などをご紹介しています。

【左図版】 伊原宇三郎 ハープを弾く婦人 1927年頃 徳島県立近代美術館蔵
【右図版】 板東敏雄 ヴァイオリンを持つ婦人像(仮称) 不詳 徳島県立近代美術館蔵
 

4 音が聞こえる?
絵を見て、何かにうたれたように、思いがけず音が聞こえてくることがありませんか?その音色は、さまざまです。画家がその作品にどんな意図を込めていようとも、またその作品がどの程度、音楽との関係をもっていようとも、作品を見る人に何が聞こえてくるのかは、誰にも予測できません。
菊畑茂久馬 月光 三切り絵の手法を用いたマティスの〈ジャズ〉は、当初予定されていたタイトルが「サーカス」でした。でも、切り絵をするときの即興的な要素や、その作品が与える激しい響きのイメージがジャズ音楽を連想させることから、最終的に「ジャズ」に変更されました。皆さんには、この作品からどのような音楽が聞こえてくるでしょうか。また、菊畑茂久馬の〈月光〉や、森山知己〈雪音〉といった大画面の作品も展示されています。さあ、よく見て、耳を澄ませてみましょう。

【図版】 菊畑茂久馬 月光 三 1986年 徳島県立近代美術館蔵

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