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濱谷展イメージ画像
美術館での藍染めの企画を素直に考えれば、藍染め作家の個展か 藍染めの作品展となりますが、今回は次の2つのポイントで企画を 絞り込みました。
1つは、徳島の魅力発信ですから、藍染めは県内で行うこと。
もう1つは、作品が造形的であることです。この美術館の展示室や ロビーの大空間を活かした藍染めを見てみたいと思ったのです。
しかし、1人の作家でこの2つの条件を共に満たすのは困難でした。
そこで、藍染めと造形作家を分けることにしました。
この美術館の大空間を活かした作品を作ることのできる造形作家ですが、藍染めを施せる素材を 用いていなければなりません。まず考えられるのが、糸や布を用いるファイバーアートの作家です。
ファイバーアートは、造形の過程で糸を染めたり織ったりする技巧の関与が大きいので、 工芸的になりがちです。しかし、濱谷明夫は違います。糸を単なる材料として使って作品を作るの ではなく、糸を素材としながらその本性を引き出すことで作品を作ります。濱谷はそれを、 「糸の『素形』への指向」、「素材のもつ”素”の部分との対話」といいます。