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特別展
「京都画壇に咲いた夢
  - 幸田春耕、暁冶父子と京都・徳島の日本画家たち

  2008年10月25日[土]-12月7日[日]




幸田暁冶<花売り>

画壇を輝かせた無数の物語
  近代の京都画壇は、歴史的な輝きを見せました。竹内栖鳳(せいほう)や上村松園(しょうえん)など京都生まれの日本画家が前の世代を受け継ぎ、名品を生み出しただけでなく、全国から多くの画家たちを集め、画壇をいっそう華やかなものにしていったのです。
  名をあげた大家だけでなく、画塾や美術学校で学んだ若者を含め、層の厚い画壇がつくられていきました。そして、ある者は故郷に帰りある者は京都に留まりますが、その一人一人に人生をかけた物語が隠されていたはずなのです。本展で取り上げる徳島出身の幸田春耕(しゅんこう)とその息子暁冶(ぎょうや)も、大正から戦後(第二次世界大戦後)にかけて、二代にわたって京都画壇の物語を形づくった一員でした。
  二人が亡くなってもう30年以上が過ぎていますので、ゆかりのある徳島でも忘れられつつありました。しかし、京都の日本画関係者と話していると、「徳島では、暁冶さん、春耕さんの展覧会を開かないんですか?」とたずねられることが度々あったのです。どなたも少し遠くを見つめるような目をされていたことが心に残っています。父は「指導的な作家」として、息子は「若手日本画家のホープ」として期待され華々しく活躍しながら、相次いで死を迎えた不遇さも、京都の人々に強い印象を残しているのかもしれません。
   ここでは、二人の経歴を簡単にご紹介することにしましょう。


 【図版】 幸田暁冶 〈花売り〉 1970年 個人蔵 

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