徳島県立近代美術館
学芸員の作品解説
三人の女I
1924年
ドライポイント 紙
17.5×13.0
パブロ・ピカソ (1881-1973)
生地:スペイン
データベースから
ピカソ三人の女I
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パブロ・ピカソ 「三人の女I」

友井伸一

 キュビスムの時代も過ぎ去り、新古典主義の時期に入った1920年代のピカソは40歳代。モンマルトルのアパート「洗濯船」で過ごした青春時代はすでに遠く、まさに働き盛りの時期に入っている。20年代半ばになると、版画制作にあたっても、技術を身につけたピカソは以前ほど刷り師ドラートルのアトリエに足を運ばなくなり、数十から100程度の部数となる最終の刷りは刷り師にまかせるとしても、それまでの制作は自分自身で行うことが増えてくる。この<三人の女>も、ピカソが自分で刷っている。1930年になって、最終的にサイン入りで100部ほどを刷り、販売したのは、カーンワイラーと並んでピカソの有力な画商となったヴォラールである。
 作品の主題は「三美神」。ヨーロッパにおける伝統的な主題の一つで、3人の女性は、それぞれ「美」 「欲望」「充足」、あるいは「純潔」「美」「愛」などを象徴する。主題やポーズが古典的で伝統的であるばかりではなく、女神たちの穏やかで気品あふれる理想的な女性像を、ドライポイントならではの端正で繊細な線描によってオーソドックスに描き出している。
「変貌するひとのすがた ピカソの版画」(コレクション+αで楽しむシリーズ) 
2006年11月
徳島県立近代美術館 友井伸一