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なちばくふず 那智瀑布図
鉄斎は、全国各地の神社仏閣、陵墓を訪ね、あるいは富士山や筑波山などの信仰の対象となる霊山に登り、それらを描いてきた。那智の滝を描いた本図もその一つである。和歌山県南東部にある那智の滝は、滝そのものが那智大社の御神体となっている。落差133メートルにおよぶ霞のかかる滝を、画面の中央に置いて描いている。画面の下に小さく見える拝殿と比較すると、滝の高さが強調されて見える。手前の濃墨の杉木立から、淡く湿潤な筆による中景の木々、そして渇筆で描かれた山肌の表現など、筆墨の表情を変えることで、遠近感や表情の変化を生み出している。鉄斎はここで、明清絵画などの様式や技法にこだわらず、素直に実景から受ける感興を画面に表している。(「近代日本画への道程 「日本画」の19世紀」図録 1997年)
カテゴリー:作品
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